仕事・働き方

目標達成できない二つの要因を知って、部下のやる気をマネジメント! |やる気にさせる心理学(7)

2020.12.4

新型コロナウイルスによって働き方や教育、生活や人との関わり方など、 私たちの取り巻く環境は変化を余儀なくされました。さらに、AI社会、グローバル化など未来は大きく変わろうとしています。社会が変わっていけば、必要となるスキルも変わります。変化し続ける社会の中で自分のやりたいことを実現していくために、学び続けられること、成長し続けられることが大切になってきます。
そのために必要な要素の中でとても重要なのは「やる気」です。家で過ごす時間が増えたけどなかなかやる気になれない、子どもをやる気にさせるためにはどうしたらいいの?と悩むことはありませんか?
実は「やる気の出し方」「やる気の引き出し方」については、心理学の知見に基づいた方法論があります。
このコーナーでは、立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇先生が、人がやる気になる・人をやる気にさせる心理学的なメカニズムを、みなさんにわかりやすく説明していきます。

 

立正大学心理学部名誉教授
齊藤 勇

対人心理学者、文学博士1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。 対人・社会心理学、特に人間関係の心理学、中でも対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究 。TV番組「それいけ!ココロジー」に出演し監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。『人間関係の心理学』『やる気になる・させる心理学』など、編・著書・監修多数。

 

 

目標はあっても行動できないのはなぜ?


  

――部下に目標を立てて仕事に取り組ませていますが、なかなかやる気になってくれません。

  

  

  

仕事でも、「今期、うちの部署は2,000万円売り上げ達成が目標だ!みんながんばろう!」と上司から言われて、あなたは「よし!やるぞ!」とやる気になれますか?

  

もちろん、目標に向かってどう行動すべきかわかっている社員であれば、すぐに仕事にとりかかれるでしょう。しかし、新入社員や初めてこの業務に携わる人など、このような目標だけでは人はなかなか達成できるイメージがわかないのではないでしょうか?

  

目標があってもそれに向かって行動できない、行動が止まってしまうのは、二つの要因があります。まず一つ目は、目標のゴールまでの道のりが曖昧であることが原因です。

  

  

目標を掲げるのは簡単ですが、目標達成までの道筋、やり方など、小さなステップを理解でき、それが実行可能と確信できないと、人は行動を始めるきっかけとなる「やる気」が起きません。ゴールまでの道筋を部下が明確にイメージできることが必要です。

  

ゴールまでの道筋を明確にするためには、目標達成が測定可能であり、期間が設定されていること、具体的な数字で表される目標設定が良いです。

  

例えば、「新規事業の売り上げを今期2,000万円到達させるために、年度末までに50件獲得、そのためにまずは過去に問い合わせのあった顧客リストを洗い出すところから始めよう」といった感じで、目標達成のためにまずはどんな行動をすべきか、というところまで設定できたら明確ですよね。

  

もう一つは、部下に「やりがい」を感じさせることです。上司のみなさんは、部下の目標に対する具体的な行動を一緒に考えるときに、目標へのステップをひとつひとつクリアするにはその業務に多少の困難さがあること、そして、仕事に対する価値を共有できる機会を作ることが必要です。

  

  

ちょっと難しそうだなと思うことをやらせても、達成するまでに定期的に目標や計画を見直したり、上司からの適切なフィードバックをしてあげるなど、常に上司からのフォローやほめ言葉があれば、やりがいを感じて仕事のパフォーマンスが上がります。

  

  
  
  

人の目に触れるところに置くと達成しやすくなる


  

よく学生さんなどは、「めざせ、東大合格!」とか「サッカー県大会出場を目指す!」といったように机の上や壁などに目標をかいて掲示したりしますよね?私

  

の知り合いでも、冷蔵庫に「一日1回ありがとうと言おう」なんていうのを貼っています(笑)。主婦の方なので、必ず冷蔵庫を開けるからだそうですが。

  

目標を書く、人の目に触れるところに掲示するのは、目標を達成するためには良い行動なんです。まず、目標を作るという作業が発生することにより、行動しようという心理が働きます。

  

  

さらに目標を作るうえで、自分の考えを整理することができます。自分がどんなどういう行動をするかということを、「書く」ことで頭の中にあるものを明確化することができるからです。人間の頭の中で考えていることは、実は支離滅裂だったりするんですよね。

  

 さらに、目標を常に見えるところに置くことで、短期記憶から長期記憶に移行することができます。いつでも見られるところに書いておく、確認できる場所に置く。これが重要なんです。人間の記憶の滞在時間は短いですから。

  

例えば、勉強面でも、「あ、そうだ、今の目標は次の模擬試験で不得意科目の英語を80点以上とれるように、苦手は長文読解を毎日やるって決めたんだ」といったように、記憶を呼び戻せる効果があります。

  

人間の頭の中は、飽きっぽいというか忘れっぽいので、ただ単に目標設定しただけではなく、その目標がいつも確認できることが達成させようという意欲につながります。

  

また、心理的な面でいえば、目標を掲示したことで自分自身が書いたことに縛られるんですよ。その目標に決めるまでに迷ったことや決断した経緯を思い起こされるんです。

  

例えば、将来は海外の大学に行きたいからこの高校に行こうと決めたのに、前回の模擬試験では散々な結果だった。この学校に行くためには合格率を上げなければならないんだった。あんなに悔しい思いをしたのに!といったように、この目標を立てた経緯や感情などを思い出すことができます。

  

目標はぼやけていると行動できませんし、やりがいなどが感じられるものでないとやる気になれません。もし、一度立てた目標に向かって、それでもうまく達成できないのであれば、まずは心の奥で、「それは本当に達成したい目標か」を考えてみてください。

  

 

 

 


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この記事を担当した人

わん子

やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。

 

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