仕事・働き方

鈴木友海、ストリートから「流し」へ。歌い続けて育てた音楽への情熱

2020.12.2

「令和の女流し」として知られるシンガーソングライターの鈴木友海さん。中学の頃から音楽を志し、歌い続けてきました。決して平坦ではない道を歩み続けるなかで見えてきたものとは?テレビ東京系列「THE☆カラオケバトル」で優勝するほどの高い歌唱力を備え、いつもパワフルな友海さんのやる気に迫りました。

 


 

鈴木友海(すずき・ゆうみ)

シンガーソングライター/ギター流し
愛知県岡崎市出身。幼少より歌が好きで、中学生の頃から楽曲制作を始める。大阪芸術大学音楽学科を卒業後、2012年より東京を中心にライブ活動を開始。2016年からは「女流し 結海」として恵比寿横丁で流しを始め、次世代流しとして注目を集める。テレビ東京系列「THE☆カラオケバトル」、BSテレビ東京「集まれ!カラオケ大好きピープル」優勝。 高い歌唱力とパワフルさで人々に笑顔を届ける。

オフィシャルサイト: linktr.ee/yumi_s927

 

ギター1本で夜の喧騒に飛び込む


 

鈴木友海さんはシンガーソングライターとして活動するほか、「ギター流し」という特徴的な活動をされています。今回はぜひそのあたりのやる気スイッチストーリーを聞かせてください。

 

はい、よろしくお願いします!
「流し」の活動はまさに、音楽へのやる気が増すきっかけだったんですよ。

 

そうなんですね!さっそく詳しく聞いていきたいんですが、その前に。
「流し」がどんなものなのか知らない人もいると思います。簡単に教えていただけませんか?

 

「流し」とは、楽器をもって酒場などを巡りながら、お客さんのリクエストに応えて歌ったり、伴奏してあげたりする人のことをいいます。「一曲いかがですか?」って。

昭和の時代にはよく見られたそうなんですよ。かつて新宿には数百人の「流し」ミュージシャンがいたのだとか。

 

 

ストリートミュージシャンとはまたちがいますよね。
友海さんはどうして「流し」をやることになったんですか?

 

今おっしゃいましたけど、わたし、流しをやる前は路上で歌っていたんですよ。
芸大卒業を機に「音楽で食べていくぞ!」と上京し、自分の歌を聞いてもらいたくて、新宿などで歌っていました。
人とちがうことをやろうと思い立って台湾で路上ライブしていたこともあります(笑)。

 

国外でもやっていたんですね!
路上ライブの反響はいかがでしたか?

 

台湾では親日な方が多く、日本の人気曲やアニメソングなどを歌っていると、たくさんの人が集まって聞いてくれました。言葉はわからなくても音楽で通じ合えることがとてもうれしく、自信がつきました。

 

台湾でのライブの様子(写真:本人提供)

 

でも日本では全然うまくいかない…。
雨の日も雪の日も毎日ライブをやっていたんですが、足を止めてくれる人は少なかったです。

 

つらいですね…。

 

「聞いて!聞いて!」という姿勢がダメなのか…と悩んでいたところ、知人から「流し」の話を聞いたんです。

「恵比寿横丁で流しで歌っている人がいるよ。やってみたら?できるんじゃないかな」とすすめられました。

 

すぐに「やってみよう」という気持ちになったんですか?

 

話を聞いた直後は「流しって何?」と、流しがどんなものなのか全然わかっていませんでした。

それでも、恵比寿横丁で歌っているという「パリなかやま」さん(※)に会いに行ってみることにしたんです。

 

パリなかやま
ギター流し。流しの復活と発展を目指す「平成流し組合」代表。

 

えっ流しのことを知らないままで行ったんですか?

 

そうなんです。で、「あの、よくわかっていないんですけど、わたしにできますかね?」って聞きました(笑)。

 

行動あるのみ、という感じですね(笑)。

 

パリなかやまさんからは最初にレパートリーについて聞かれました。
実はわたし、学生時代にあらゆる曲を覚えていて、このときすでにレパートリーが200曲くらいあったんです。
それを話したら「できるよ!」と背中押してもらえて、わたしも「やります!」とその場で決めちゃいました。

 

合わなかったらどうしよう、など不安はなかったんですか?

 

あまりなかったです。とりあえず1か月お試しで、と気楽にスタートしました。

 

で、実際にやってみて…?

 

めちゃくちゃ楽しかったんですよ!

 

流しの様子(写真:本人提供)。ギターに歌詞とコードを表示したタブレットを取り付けて歌う。

 

路上ライブではこちらから「聞いてください!」と呼びかけて歌っていたんですが、流しは求められて歌うんです。「こっちにきて歌ってくださーい!」と声をかけてもらうと歌へのモチベーションがあがります。

また、曲を通してお客さんとコミュニケーションを取れるのも流しのいいところです。
「今日はこんなことがあったからこの曲を歌ってほしい」「あなたの歌を聴いて元気がでてきた」など歌の前後にお話します。これは路上ライブとはちがうところですね。人の人生に音楽で関わっていける点は大きなやりがいです。

 

YouTubeでは流しの様子を撮影した動画をアップしている。
鈴木友海&女流し結海YouTubeチャンネルはこちら

 

カラオケバトルでの気づき


 

リクエストに応じて歌うためにはあらかじめたくさんの曲を知り、練習していないといけないですよね。だから始めたての頃は、学生時代に覚えた200曲のレパートリーが活きたと。

 

そうですね。それに、今でも常に流行曲・最新曲をチェックしてレパートリーを増やす努力をしています。

ただ歌えるだけではダメなのでギターコードなどから曲の構造を勉強するんですが、人の心を打つ曲はやはり作りもすごくて、いい刺激を受けます。流しをやっていると自分の勉強にもなるんですよね。

 

最初に「流しは音楽へのやる気が増すきっかけだった」とおっしゃっていたのは、そういうことだったんですね。

 

もうひとつ、音楽にいっそう身が入ったきっかけがあります。2019年にテレビ東京系列の「THE☆カラオケバトル」に出させていただいたときのことです。流しをやっていたことからいただいたご縁でした。

 

友海さんはこのとき優勝されていますよね。

 

 

もちろん優勝できたことは大きな喜びで歌うことのやる気が高まりましたが、自分の中である気づきがありました。

いつもざわざわした環境で歌っていたのでわからなかったんですが、周りがシーンとしたスタジオで歌ってみて、自分の歌い方の雑な部分に気がついたんです。思っていたよりも自分の歌声を聴けていなかったんですね。

ちゃんと歌っていたつもりでもまだまだ課題があった。「音楽で身を立てていこうと思っているのにこんなことではダメだ…!」と奮起しました。

 

結果に満足することなく新たな課題と向き合ったのですね。

 

ボイストレーニングに行って基礎をいちからやり直したんですよ。「もっと、ていねいに歌おう!」と意欲に燃えました。
そのうち周りから「歌い方変わったよね」といわれるようになり、それがまたモチベーションになりました。

しかしはりきっていたところに新型コロナが感染拡大し、活動は停滞することに…。

 

 

「流し」で起こしたやる気の行方


 

コロナの影響でエンターテイメント活動は全面的に自粛となりましたが、友海さんは何を思われましたか?

 

「どうしたらいいのかわからない」が正直なところでした。
シンガーソングライターとしての活動はまだ、ライブ配信などオンラインでできることに取りかかりましたが、流しに関しては何も考えられずモヤモヤしていました。

流しは近い距離で生ギターに生歌だからこそ振動してみなさんに届くんです。その近さゆえに「みんなで歌う」という楽しみもあり、お客さんと大合唱することも多々ありました。それが一切できなくなって立ち止まってしまいました。

緊急事態宣言が解除されてからも数カ月間「何ができるか、何をやりたいか」を悩みました。やっとのことで動き出したのが「バーチャル流し」です。

 

「バーチャル流し」はツイキャスで配信している。

 

どのようにして「またやってみよう」の気持ちが動いたのですか?

 

ふと、恵比寿横丁には外国の方が多かったことを思い出したんです。

コロナでしばらく外国の人は日本に来られないでしょうが、何もかも安心できるようになったとき、また東京オリンピックが開催されるときに、きっとまた訪れてくれると思います。

その方々に向けて、「日本には流しっていう文化があるんだよ」ということを発信したいなと思いました。今はまだ準備が追いついていませんが、「バーチャル流し」はその第一歩です。

 

文化の担い手になろうと思われたのですね、すばらしい発想です。

 

お世話になっている飲食店も多いですし、バーチャルの背景にお店をうつして、少しでも「また行こう」と興味をもってもらえたらいいなと、応援する気持ちも込めています。

日本人でもまだ気軽に飲みに行けない人はいるでしょうから、「家飲み」の楽しみ方としても活用してもらえたらうれしいです。

 

リアルで流しをやっていたときは文化発信の視点はありましたか?

 

まったくなかったです。毎日楽しく歌わせてもらって、それで食べさせてもらっている、ということだけでした。
今回コロナで立ち止まったことによって、改めて自分の気持ちや活動を見つめることができたのだと思います。

 

ピンチがチャンスに変わりましたね。

 

アーティストとして活動を続けるのはもちろんのこと、流しで知られるようにもなってきたので、コロナ禍でも、せっかく出会えた「流し」という日本のよき文化を伝える役目を果たしていきたいと考えています。

 

コロナ禍に耐える日々が続いても、できることをコツコツやって前に進んでいく力強さを感じます。これからも頑張ってください!ありがとうございました。

 

鈴木友海さんのCDをプレゼント

アーティストとしても活躍する鈴木友海さん。長崎県在住の主婦の歌詞をもとに作り、同県の保育園や育児中のお母さんらの間で大きな反響をよんだ『MIKOTO』を含む3枚のCDを抽選で1名様にプレゼントいたします。

 

応募は締め切りました。ありがとうございました。

 

 


 

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この記事を書いた人

ほんのまともみ

やる気ラボライター。様々な活躍をする人の「物語」や哲学を書き起こせることにやりがいを感じながら励みます。特に子どもの遊びや文化に携わる人、出版業界界隈に関心が高いです。JPIC読書アドバイザー27期。



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