子育て・教育

【相談】高齢になった父との関係をよりよくするには【第18回】心理学者に聞く、人間関係のお悩み相談室

2020.04.24

私たちはしばしば、人間関係に悩まされて、やる気をなくします…。そんなゲストのさまざまなお悩みを、“人間関係の心理学者”齊藤勇先生が解決する連載です!

今回のゲストは、高齢になった父との関係に悩む女性からの相談です。父として尊敬できなくなり、自己嫌悪に陥る相談者に人間関係のスペシャリスト齊藤先生がポジティブアドバイス!

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サイトウ先生
(立正大学心理学部名誉教 授 齊藤 勇 先生) 「人間関係」を専門とする心理学のエキスパート。 日本ビジネス心理学会長。
セブ島などで英会話学校のアドバイスをしたりといろいろ大活躍のスゴい人。とても気さくなおじさまです。

こね子さん
今回の相談者。英語教室の事務を担当。
息子と一緒にフェスに参加し、歳を忘れて盛り上がれるのが若さの秘訣!盛り上がり過ぎて、息子がつきあってくれないのが寂しい今日この頃…。

こぶた
やる気ラボスタッフ。ラボに移り住んでから、脂が乗りすぎて出荷されずにいる。ダイエットさせるためか、ラボの家主からダイエットメニュー(仕事)がどんどん増やされる毎日を過ごしている。

わん子
やる気ラボスタッフ。年齢不詳の女性会社員。 学校休校、リモートワークで家事が増えた感覚がするのは私だけだろうか…。

人生100年時代


今回の相談者は、ご高齢のお父さまとの関係に悩んでいるこね子さんです。

高齢化社会とは言え医療も発達してきましたから、いまは100歳まで生きられる世の中になってきましたしね。今回の相談は、高齢者に対する関係性を考えるいいきっかけになりました

そうねぇ。自分の両親に対しての心構えが持てたわ!

被害妄想が強い父


今回はご両親についてのお悩みということで、おいくつなんですか?

父が90歳で、母が88歳です。

それは長生きしていらっしゃいますね。

はい。県庁で長く務めてきた人なので、昔からとにかく自分一番、家長が一番、家族は俺が養っているという考え方を持っている人なんです。父が家にいる記憶もあまりなく、定年後もしばらく働いていました。

今はご一緒に住まわれているのですか?

いえ。学生の時は一緒に住んでいましたが、働き始めてから一緒に住んでいません。結婚してからは、車で30分離れたところに住んでいます。

今回のご相談はお父さまについてですか?

はい。父は性格も自己中心的ではありますが、被害妄想が激しく、急に怒鳴りだすことが増えまして。母に対してもきつくあたることが多いんです。

以前、母親が転んで骨折して3か月入院したときがあったのですが、母が入院中は「退院してきたらいろいろと手伝ってあげないと…。」なんて言っていたのに、退院しても自分はソファーに座ってお茶だのなんだのと指示するだけで、そんな状況でも自分中心になっている父を見ると母が可哀想で…。

なるほど。

まだまだ本調子でない母が可哀想で、ついつい父に対して、それは間違っているというと、父は激高してしまうんです。

父はこれまで自分が一番で生きてきた人だから、娘に怒られることが我慢ならないのかもしれませんが。

お母さまは文句も言わず、お父さまの言う通りにされるわけですね。

はい。

お母さまは今の生活で悩んでいらっしゃるのですか?

母はもうあきらめているようです。父の言うことには「はいはい」と聞いてあげています。

なるほど。

今は同居されていないということなので、今の環境ならお父さまとお母さまの当人同士の関係性のまま、こね子さんは入り込まないほうが良いと思います。

両親の環境が変わったときが娘の出番


もし万が一、母が先に亡くなったりしたらと考えると…。

お母さまが助けを求めるのであれば、関係を変えてあげる必要はあるかと思いますが、そうでないなら、遠くから見守る姿勢でいてください。

冷たいようですが、二人の家庭だと考えてあなたの心理的負担を減らしたほうがいいですね。

確かに、こうなったらどうしよう、ああなったらどうしようと先々どうなるかわからないことばかり考えて悩んでいました。

ご両親のことですからね。どうしても考えてしまうのは仕方ありません。ご両親は高齢なので、今後これから環境がどんどん変わっていきます。

どう変わるかわからないのに、今からこね子さんが心配して責任を負うことはありません。

父親として尊敬できなくなった私


でも、そんな父を見ていると、父親として尊敬できなくなっているんです。そんな風に考える自分も嫌で…。娘としてそう思うことが悪いことなんじゃないかと落ち込みます。

お父さまとはどのくらいの頻度でお会いになるのですか?

週1回は顔を出してます。

自分勝手な性格だけでなく、最近では私の言ったことを反対に受け取ることもあって、とにかく被害妄想が激しくて。その度に何かしら口論になります。

毎回ですか?

私が行くと刺激物が入るんですね(笑)

お互いが気持ちのはけ口を求めているんですねぇ。

確かに(笑)。私が持っているストレスも一緒に吐き出しているのかもしれませんね。父を言い負かすとすっきりします。

お父さまは、怒鳴るのは内容ではなく感情をぶつけたいだけなんです。高齢になると思い込みに不安があるからそれをぶつけたくなる。

それはもう理屈を超えているんです。奥さんと娘さんに思いをぶつけられることで心のバランスを保っているんです。

理不尽なことを言われるとどうしても腹が立ちます。

思い切り口論した後は、お二人の関係はどうですか?

父も私も次の日になれば変わりない関係になっていますね。

それは、お互いにとって健康的なんじゃないですか? 関係が悪化してないということでしたしたら、お互いストレスを発散してそれなりに均衡を保っているのでしょう。

それもそうですね。自分自身もストレスを発散しているのかもしれません。父に対してこれまで自分が言い負かすことなんてありませんでしたから。

昔と今のギャップを理解することが大切


昔はお父さんと仲良しだったな…

人は高齢になると退行していきます。つまり、子ども返りです。実の子としては受け入れ難いことですが心が子どもになるのです。これまでの父親に対するギャップを理解する必要がありますね。

ギャップ…ですか?

はい。父親はいつまでも昔のままの父親ではなくなっているということを理解することです。

確かに、父が変わることはないと思い込んでいました。

威厳のあるお父さまであればあるほど、そのギャップが認められない。こね子さんの心理的負担を軽くするには、 自分の中で親子の関係が逆転したと思うことです。 悲しいことかもしれませんが、こね子さんが親的立場になることですね。

昔と今の父親のギャップを理解する時期になったということですね。

そう考えると父に対する気持ちを変えることができます。 今日はありがとうございました!

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この記事を担当した人

わん子

やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。

 
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