仕事・働き方

人間関係の中の自分はどんなタイプ?自己分析してみよう|やる気にさせる心理学(最終回)

2021.04.21

新型コロナウイルスによって働き方や教育、生活や人との関わり方など、 私たちの取り巻く環境は変化を余儀なくされました。さらに、AI社会、グローバル化など未来は大きく変わろうとしています。社会が変わっていけば、必要となるスキルも変わります。変化し続ける社会の中で自分のやりたいことを実現していくために、学び続けられること、成長し続けられることが大切になってきます。
そのために必要な要素の中でとても重要なのは「やる気」です。家で過ごす時間が増えたけどなかなかやる気になれない、子どもをやる気にさせるためにはどうしたらいいの?と悩むことはありませんか?
実は「やる気の出し方」「やる気の引き出し方」については、心理学の知見に基づいた方法論があります。
このコーナーでは、立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇先生が、人がやる気になる・人をやる気にさせる心理学的なメカニズムを、みなさんにわかりやすく説明していきます。

立正大学心理学部名誉教授
齊藤 勇

対人心理学者、文学博士1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。 対人・社会心理学、特に人間関係の心理学、中でも対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究 。TV番組「それいけ!ココロジー」に出演し監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。『人間関係の心理学』『やる気になる・させる心理学』など、編・著書・監修多数。


 

人間関係はやる気の源


    

    

私たちは誰もが人間関係の中で生きています。「人の期待に応えようと思ったらやる気になれた」、「みんなと一緒にやったからやる気になった」といったように、人間関係によってやる気がわいてきたり、その反対に人間関係によってやる気がなくなったりします。

   

人間関係の機能(働き)について詳しく知ることで快適に過ごすことができます。しかし、私たちは人間関係においては、自分が人間であるゆえに、ついついわかっていると思いがちです。

   

最終回の「やる気にさせる心理学」では、その機能(働き)の一つ、切っても切り離せない人間関係の中での心の動きについてご紹介します。自分の心理メカニズムを知ってより良い人間関係を見つける第一歩を踏み出しましょう!

   
   
   

自分を見ている自分の目


    

   

「今日すごくイライラしてるわ。私…。」といったように、自分で自分の心の内を考えているときはありませんか?または、写真を撮影するときにカメラが向けられると、髪型や服装の乱れを気にしたり、人と話していて、自分のエピソードを少し大げさに話したりと、自分は周りから見るとどんな風に見えるのだろうと、自分の姿を考えることはありませんか、いずれもその状態を「自己意識状態にある」といいます。

   

ただ、人はいつも自己意識状態にあるわけではなく、だいたいは他の世界に意識が集中していることの方が多いのです。この記事を読んでいるときも、テレビでお笑いを観ているときも、自分の内側に意識は向いていません。これが通常なんです。ただ、人によって頻繁に自分のことを意識しているタイプの人と、自分には目が向かず外に集中しているタイプの人がいます。

   
   
   

私的自己意識タイプか公的自己意識タイプか


   

    

自己意識の中でも、「私的自己意識」と「公的自己意識」の2種類があります。「イライラしている」といったように、自分の考え、好み、欲求、希望など、自分だけが意識できる自身の心理状態を「私的自己意識」といいます。

   

一方で、モニターに自分が大きく映った時に恥ずかしい気持ちになるなど、自分が周りにどのようにみられているか、自分の外から自分を見ている状態を「公的自己意識」といいます。

   

心理学者のフェニングスタインは、自己意識の強弱も性格の一つととらえて、次ようなテストを考案しています。ご自身はどちらのタイプか、ぜひやってみてください

  
   
    

あなたは自己意識が高い性格、低い性格?


   

次の各項文句について、自分に当てはまると思った場合はチェック☑をつけてください。












(Fenigsteinら、1975を参考に作成)

   

※奇数項目が私的自己意識項目、偶数項目が公的自己意識項目である。

<評価の仕方>

1~10のうち☑の数が 

3以下の人 → 自己意識が弱い人
4~6の人 → 自己意識が強い人
7以上の人 → 自己意識が非常に強い人

奇数項目で☑の数が

1以下の人 → 私的自己意識が弱い人
2~3の人 → 私的自己意識が強い人
3以上の人 → 私的自己意識が非常に強い人

偶数項目で☑の数が 

1以下の人 → 公的自己意識が弱い人
2~3の人 → 公的自己意識が強い人
3以上の人 → 公的自己意識が非常に強い人

   
   
   

自分の信念に沿うか、周りの期待に沿うか


   

私的自己意識が高い人は、自分の考えや態度や感情に注意が集中するので、より自分の信念や価値観に基づいて行動します。「自分はどうありたいのか」ということが重要なので、自分の理想像へのこだわりが強くなります。ただし、私的自己意識が強すぎると、個性的な人、頑固な人、自分勝手な人と思われてしまうこともありますので、多少控えた方がいいですね。

    

公的自己意識が高い人は、自己評価が低いので、他人の目が気にしがちです。普段よりもより他者の期待に沿う形で行動しようあまり、自分らしく振舞えず、過剰なまでに自分を抑え込んでしまうようであれば、対人恐怖症になりかねません。

   

人は、自分と相手の関係や自分の置かれている状況などを見ながら人間関係を進めています。ですから、どちらの意識もバランスよく持っていられるのが理想です。人に合わせすぎてしまえば、結局誰からも信頼されなくなるということあるので、他人の目も気にしつつ、自分がどうしたいのか?ということを持つ勇気も必要です。

    

   
   
   

自己評価を上げて私的自己意識を上げよう


   

私的自己意識が強い人でも、デキる人ばかりの中にいると、理想としている自分に自信を無くして自己評価が下がってしまいます。反対に、人より早く走れる、100Mを9秒台で走れるなど、人や物理的なものと比較をして、できると思うと自己評価は上がります。

   

このように、自己評価というのは常に一定であるとは限らないのです。私たちは周りにいる人との社会的比較によって自己評価を左右されるからです。 自己評価は「自分への自信」です。

   

自信があるときには自分の意見を通しながらも、他人に合わせる余裕もでてきますが、自信がない時はどうしても人と同じことをしていた方が安心したり、相手に良く見せようと人に合わせようとしてしまいがちです。人との比較によって自信を無くしているのであれば、人との比較をしている自分に気づき、比較対象を昨日の自分に向けるように意識しましょう。

   
   
   

人間関係の中の自分


   

    

人間関係の中の自分は、常に何かと比較しているのです。そしてその比較対象が自分なのか他人なのか、物理的なものなのか、さらに比較の程度によって人間関係がうまくいったり悪くなったりします。

   

他人との比較をしても、自分自身と全く同じ条件の人はいません。育った環境やこれまでしてきたこと、興味の持ち方も違います。比べるのではなく、その人の良いところを真似てみようと思えばいいのです。

   

また、自分を意識しすぎると至らないところに目が行きがちですが、そんな時は自分が人と比べて恵まれていること、できていることに意識的に目をむけるようにし、人間関係をうまく利用して自分の心の機能(働き)を改良しましょう!

 

 



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この記事を担当した人

わん子

やる気ラボに古くからいる微魔女犬。やる気が失せると顔にでるためわかりやすい。my癒しは、滝と戦闘機と空を見上げること。

 
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