仕事・働き方

池添謙一が馬と共に走り続ける理由「叶えたい夢たくさんある」

2021.03.30

長年にわたり名実ともに日本を代表するジョッキーとして活躍している池添謙一さんに、競馬の「勝利」にかける熱意や夢を叶えるためのモチベーションについてうかがいました。
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池添謙一(いけぞえ・けんいち)

1979年7月23日生まれ。滋賀県栗東市出身。ジョッキー。武豊騎手に憧れ、競馬界を目指す。1998年にデビューを果たすと、同年に38勝を収め最多勝利新人騎手を受賞。その後、史上最年少三冠ジョッキー、5大クラシック完全制覇、史上29人目のJRA通算1万回騎乗、史上6人目のJRA全10場重賞制覇など、数々の大記録を達成。勝利時のガッツポーズもおなじみで、「関西が生んだ熱きジョッキー」の異名をとる。名実ともに日本を代表するジョッキーとして活躍している。

 

 

ジョッキー以外の自分
想像できない


 

やる気ラボの勝部です。
本日はJRAのジョッキー・池添謙一さんにお話をうかがいます。よろしくお願いします!

 

よろしくお願いします!

 

池添さん、昨日のスプリングS、感動しました(取材日 3月22日)。弟の池添学さん(調教師)とのタッグでクラシックへの道を切り拓きましたね。JRA初の兄弟重賞制覇おめでとうございます!

 

ありがとうございます!
実は「兄弟重賞制覇」が史上初めてというのは後から聞いて知ったんですけど、やっぱり弟が管理する馬で勝てたというのは嬉しいですね。

 

 

池添さんのご家庭は、お父さんの兼雄さんも調教師で元ジョッキーという「競馬一家」です。
競馬が身近にある環境で育ったことが、池添さんがジョッキーの道に進もうと思ったいちばんの要因だったのでしょうか?

 

父の影響ももちろんありますが、いちばんは子どものころからの憧れのジョッキーである武豊さんの存在が大きいですね。
豊さんが騎手デビューされたのが、僕が小学校低学年のときだったんですけど、その姿が本当にかっこよくて。デビューしてすぐに大活躍されてというのを見て、「この人みたいになりたい!」と思ったのがジョッキーを目指したきっかけです。

 

小学生…それは早いですね!
他のことをやってみたいと思ったことはありませんでしたか?

 

それが、1度もないんですよね。騎手になりたいと思った時からその夢を叶えるまで、1回もブレたことはなかったです。保育園の卒園式では「ゴルファーになりたい」って言ったんですけど、小学生の時に目覚めてからは、もう本当に競馬のことしか考えていませんでした。

 

幼い頃からの夢を追いかけ続けるというのは、誰もができることではありません。どのようなモチベーションだったのでしょう?

 

馬に乗って勝っている自分の姿を想像するんですよ。将来こうなりたいというビジョンがあったので、自分にとってそれがいちばんのモチベーションでした。

 

また、ジョッキーになるために乗馬を始めたんですけど、やっぱり馬に乗ること自体がすごく楽しかったんですね。「もっともっとうまくなりたい」とずっと思っていて、その直線上にジョッキーという大きな夢があるという感じでした。

 

どういったところに乗馬の楽しさを感じましたか?

 

馬は、自分が操縦しないと動いてくれないんです。1頭1頭個性もありますし、気難しい馬もいるので、騎手がへたくそだと反抗してくるんですよね。そんな馬をうまく操縦し、言うことをきかせられたら、やっぱり満足感が違うんです。そういったところがいちばんの楽しさだと思いますね。

 

まさに、好きこそものの上手なれ。
池添さんは、ジョッキーになりたいという幼い頃からの夢を楽しみながら叶えられたのですね。

 

今でも本当に、この職業しかなかったと感じています。身体も小さかったですし、自分に合っているというか、それ以外なかったんですよね。

 

ジョッキー以外の職業についている自分を考えられない、と?

 

そうですね。ジョッキーになっていなかったら、たぶんダメ人間になっているんだろうなって思いますよ(笑)もし試験で不合格になっていたら、たぶん何に対してもやる気なんてでなかったと思いますから。
想像もできないですね…。ギャンブルに溺れる人生だったかも(笑)

 

これしかないと思える職業につける。本当に素敵なことですね。

 

 

 

「勝利」への執念


 

しかし、ジョッキーは大変なお仕事だと思います。週末が来るたびに様々な会場に足を運び、1日に複数回レースをこなさなければならない。体力的にきついと感じる場面もあるのではないでしょうか?

 

移動やスケジュールに関しては、もう24年目なので慣れています。

 

それに、実は「たくさん乗っている=疲れる」っていう訳ではないんですよね。
10頭乗ったとしても、1つでも勝てると不思議と疲労感はないんです逆に、1回も勝てなかったらドッと疲れがきますね。やっぱり「勝利」というのが、この仕事をする上での大きなモチベーションになっているんだと思います。

 

なるほど。なによりも精神面が大きいというわけですね。

 

はい。だから、負けが続くと結構しんどいんですよ。僕って自分ではそこまでストレスを感じないタイプだと思っていたんですけど、去年の12月くらいから円形脱毛症にもなって…。

 

ちょうど昨日まで、まったく勝てていなかったんですよね。2週間騎乗停止になっていた時期もあわせると、6週間も勝てていなかった。1カ月以上勝てないというのは何年かぶりぐらいで、「どんな馬に乗っても勝てないんじゃないか…」とさえ思うこともありました。

 

たくさんの人たちの期待を一身に背負うプレッシャーは想像も及びません。
しかし、池添さんは20年以上、第一線で戦い続けています。悩みを乗り越える秘訣などがあるのですか?

 

そうですね。「やることをしっかりやって、普段通り乗れば大丈夫」。そのように、自分に言い聞かせながらやってきたという感じです。

 

そしてなにより、僕にとって勝つことがいちばんのストレス発散方法なんです。勝つと「また次頑張ろう!」というやる気がわいてくるんですよ。勝つことこそ、いちばんの薬なのかなって思っています。

 

僕が池添さんの立場なら、勝つまでに我慢できず諦めてしまいそうですが…。
なぜ勝利が、池添さんにそこまでのやる気を与えてくれるのでしょう?

 

勝利の瞬間は、心から「この仕事をやっていて良かった」と思える瞬間だからです。
一緒に走ってくれたパートナーと勝てたという喜び。馬を世話している厩務員や調教師の先生の喜んでいる顔を見たときの幸せ。お客さんの大歓声を受ける感動。これは、僕にとって最高のひとときなんですよ。

 

勝利とひとことでいっても、そこには様々な人たちの思いが詰まっているわけですね。

 

 

そんな池添さんも、過去に1度だけ「ジョッキーをやめたい」と思った瞬間があるのだそうですね?

 

昔、オルフェーヴルという馬に乗せてもらっていたんですけど、その馬で阪神大賞典と天皇賞(春)で連敗したときのことです。後にも先にもその時だけ、「騎手をやめたい」と思いました。当時のオルフェーヴルは負けたらダメな馬になっていたので、自分の騎乗が悔やまれたんです。

 

そこからどうやって立ち直れたのですか?

 

悩んでいる時、先輩ジョッキーの四位洋文さんが「まずは自分に自信を持て。そうじゃないと馬に失礼だろう」と声をかけてくれたんです。自分一人では競馬はできない。馬がいて一緒に走ってくれる。そのことを忘れてはいけないと、改めて気付かされる出来事でした。

 

ふむふむ。

 

そして、連敗したにもかかわらず、またオルフェーヴルのレースに乗せてもらえることになったんです。普通なら乗り替わりでもおかしくない状況で、次の宝塚記念で騎乗依頼をもらえたんですよ。
任せてもらえて、期待してもらえて、すごく幸せでした。「次こそは絶対結果を出したい」「期待にこたえなきゃ」、今度はその気持ちでいっぱいになりました。

 

その宝塚記念では、見事期待に応える勝利を飾ります。
池添さんが勝負への執念が人一倍強いのは、「自分一人では競馬ができない」という信念が常に胸に刻まれているからだったのですね。

 

 

叶えたい夢
たくさんある


 

馬がいるから――というお話がありました。以前、馬が「死ぬ」という言葉の表現に違和感があるともおっしゃっていましたが、池添さんにとって、馬はどのような存在ですか?

 

これまでたくさんの馬に乗せてもらっていて、もちろん勝った馬もいれば勝てなかった馬もいるんですけど、みんなが一緒に命を懸けた仲間たち。だからこそ、ただ「死んだ」という冷たい言葉で報道されることに疑問を感じました。人間と同じように、「亡くなる」「逝去」のような敬意を込めた言葉の表現があればいいのですが…。ジョッキーにとって、馬は共に命を懸けて走るパートナーですから。

 

パートナー…。競馬とは、まさに「人馬一体」の競技なのですね。

 

その通りです。
思い入れのある馬はたくさんいます。毎年、引退しても会いに行ける馬には会いに行っていますし、長生きしてほしいなというのは常に思っています。

 

そうですね。最近では、引退後の保護活動などもさらに活発になっている※ので、今後このような輪が広がっていくといいですね。

※【関連記事】競走馬を殺処分から救いたい。引退後の保護活動「ホースプロジェクト3S」の道

 

 

池添さんのように、好きなことを頑張りたいという人たちはたくさんいます。
そんな中で、「やる気が出ない」「やりたいことがみつからない」といった読者の皆さんにアドバイスをお願いします。

 

大きい目標でも小さな目標でもいいので、なにか目標をもって成し遂げてみるということが大切なのかなと思いますね。そこに向けて頑張っていうこと思うと、「やる気」って自然に出てくるものだと思います。

 

やりたいことがみつからない人は、ちょっとの幸せに目を向けることから始めたらいいんじゃないでしょうか。例えば、おいしいごはんをたべると幸せじゃないですか?そのために、こつこつ次頑張ろう!みたいな。まずは、そういった小さな目標を持つことが大切かなと思いますね。

 

池添さんが幼い頃から将来のビジョンをイメージしていたように、ですね。
最後に、池添さんご自身の今後の目標を教えてください。

 

僕、めちゃくちゃ叶えたい夢があるんです。まだ勝っていないG1は勝ちたいですし、父の定年までに一緒にG1を取りたいですし、弟ともこれからG1をたくさん取りたいです。挙げていたらきりがないほど、目標がたくさんあります。

 

本当に叶えられないくらいたくさんの夢があるので、1つでも多く実現できるようにこれからも頑張ります!

 

ありがとうございました!
池添謙一さんの今後のご活躍を期待しています。

 

 

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応募は締め切りました。ありがとうございました。

 

 

 

 


 

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この記事を書いた人

勝部晃多(かつべ・こうた)

やる気ラボの娯楽記事担当。23歳。ハウストラブルコラムやIT関連のニュースライターを経、2019年8月より現職。趣味はプロ野球・競馬観戦や温泉旅行、読書等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているらしい。性格は柴犬のように頑固で、好きな物事に対する嗅覚と執念は異常とも評されている。

 

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