仕事・働き方

Alex Henry Foster「不安や悩みは自由へのチャンス」

2020.04.13

カナダのロックバンド・Your Favorite Enemies(YFE)のフロントマンとして世界をまたにかけて活躍するAlex Henry Fosterさんに、そのやる気の源泉についてうかがいました。
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Alex Henry Foster
(アレックス・ヘンリー・フォスター)

カナダのモントリオール大学を卒業後、ソーシャルワーカーとして働きながら音楽制作に取り組み、2006年にYour Favorite Enemies(YFE)のフロントマンとしてデビュー。ヨーロッパや日本、オーストラリア、中国、アメリカなど、国内外でも精力的な活動をおこない、アルバム『Between Illness And Migration』は2015年のジュノー賞にノミネートされる。現在はソロ活動にも注力しており、3月20日には日本でソロアルバム『Windows in the Sky』をリリースした。公式ホームページ

 

Alex Henry Fosterと音楽


 

音楽との出会い

 

まずは、Alexさんと音楽の出会いについて教えてください。

 

音楽への入り口は父親だったよ。
父が大量のレコードコレクションを持っていて、よくアパートの狭いリビングで一緒に聴いていたんだ。その辺にあったものをソファとして座って、ジャケットを眺めながら、なぜそのアーティストやアルバム、楽曲が父にとって意味のあるものかについて聞かされた。Led Zeppelinから、Black Sabbath、CCR、King Crimson、Grateful Dead、The Rolling StonesやThe Doorsなど色々。
毎回のリスニングセッションで、父のことについてより深く知ることができたから、僕にとっては大事な時間だった。目をつむって曲を聴けば、自分だけに歌ってくれてるように感じたよ。ある意味とても瞑想的で没入的な体験だったんだ。

 

一方で母は、ロックンロールを聴いていた。
Elvis、Chuck Berry、Jerry Lee Lewis、James Brown…。毎週日曜日の朝、お気に入りのアニメを観たあとは、狭いリビングで音楽を聴きながら踊ったものだよ。母と聴く音楽は父のとは違い、フィジカルだった。リズムに乗って体を動かして楽しむことについてだったんだ。そのおかげもあって、様々なことが、広くポジティブに見られるようになったと思う。

 

音楽は、Alexさんと家族をつなぐものだったのですね。

 

僕の家庭はとても貧しかったんだ。でも、そういう経済的に厳しい環境の中でも、音楽や文学さえあれば、無限の想像力やクリエイティビティを発揮することができる。幼い頃にこのことを知れたことは、僕という人間形成に大きく影響を与えたと思う。

 

父と聴いたROLLING STONES。今でも影響を受けている

 

ソーシャルワーカーから音楽家への転身

 

Alexさんは、大学卒業後ソーシャルワーカーとして就職されています。そこから、プロのミュージシャンに転向するのは大変ではなかったのですか?

 

僕にとって、アートというのは社会的ステートメントであり、他者とのつながりを強化するツールでもあるんだ。だから、フルタイムのソーシャルワーカーから、そのエネルギーを音楽に注ぎ込むことはそれほど大きな移行じゃなかったんだよね。

 

特に音楽一本でやっていこうと決意したきっかけは、ソーシャルワーカーとして、一般家庭とは隔離された貧しく暴力的な地域に住む人たちのためにコンサートを開いたことにあったから。普段色々な人たちの間にある違いが、音楽によって架け橋となった。どれだけ音楽がパワフルなもので、どれだけ人に癒しを与え交流を生むのかってことに気づいたんだ。

 

仕事が変わっても、Alexさんの根底にある「人を助けたい」という意識はまったく変わらなかったのですね。

 

ただ他人に音楽を捧げ一緒に交流したいっていう精神こそ、素晴らしいリアクションを生み出せると思ってる。その場に誰がいようと、どんな宗教を信じていようと関係ない。お金持ちでも貧乏でも、全く違う年齢層だったとしてもね。

 

ライバル同士のギャングメンバーたちが横に並んで音楽にノリノリになっている様子や、他人の評価を気にせずにただ目をつむって音楽に浸っている様子を見たのは素晴らしい体験だった。スターになりたいとか売れたいっていう想いでは、そんなふうに人をインスパイアできなかったと思うよ。

 

その瞬間から、音楽はすごくパワフルなんだって分かったし、それだけでなく、自分の中の「他人と繋がりたい」っていうニーズが実はどれだけ深いのかってことも理解したんだ。

 

ソーシャルワーキングと音楽活動は変わりのないことだった
 
  

音楽活動の「やる気」の源

 

音楽活動や楽曲制作をしたいという「やる気」はどこから生まれるのでしょうか?

 

音楽はいつだって人生の一部で、生き方なんだ。生活必需品を買うよりも先に、CDやレコードを買っていたくらいにね。だから、音楽をやるのに「やる気」が必要なんじゃなくて、僕が生活の「やる気」を出すために音楽が必要なんだ。

 

僕にとって音楽は、瞑想的であり、体を動かせるものでもある。僕が子供の頃に経験したみたいにね。音楽は自由で純粋で、正直で本物でなきゃいけない。その価値は、肉体的でもあり精神的でもあるんだ。その効果を、他のことで再現することはできないと思ってる。
だから、ズルをしたり自分に嘘をついたりして世界一人気のアーティストになったとしても、アートが映し出すものをごまかすことはできない。アートが映し出すものは純粋で、それは何よりも偉大なんだ。

 

音楽自体がAlexさんの「やる気」の源であり、音楽が自分の進むべき道を示してくれていると。

 

だからこそ、数年前、僕は音楽やアートからしばらく離れる時間を取らなきゃいけなかった。本来の自分と、自分の気持ちを考え直すために北アフリカに行って、モロッコのタンジェという場所に2年ほど滞在したんだ。父親が亡くなった悲しみとしっかり向き合わなきゃいけなかったから。

 

しばらく表舞台から離れていた時間のおかげで、心の中で抱えていた様々なことと和解できたし、自分にとって音楽とは、創作とは何かってことを改めて思い出させてくれたんだ。そして、完全に自分の心を解放して初めて、全てが戻ってきた…。新しい世界へのビジョンと共にね。その経験が実際、僕のアルバム『Windows in the Sky』を生むことになったんだ。

 


Alex Henry Fosterと社会活動


 

社会貢献活動を続ける理由

 

Alexさんは、人権の認知度向上と教育を目的とした非営利団体の設立や、東日本大震災の支援活動など、音楽以外でも様々な活動をしてこられました。
どうして、こういった活動を続けてこられたのでしょうか?

 

それが僕だからさ。
人よりも優れているとか、特別だなんて思ってるわけじゃないよ。僕が社会的正義や人権に積極的に関わり続けるのは、自分が絶望的な時期を過ごしていた時に、それでも信じてサポートしてくれた人たちに敬意を払いたいと思うからだ。自分が積極的に動くことによって、信じる心や希望を失ってしまった人にインスピレーションを与えられたらと思ってる。

 

他人に何を信じてもらいたいとかじゃないんだ。だからこそ、自分のそういった活動を宣伝したり、商業化したりはしない。まるで自分がすごいことをしているかのように振る舞っている人がいることも理解しているけど、それは僕が思う価値観とは少し違うかな。

 

社会貢献活動を続けるのが僕の使命
 
  

夢に向かって頑張るために

 

Alexさんのように、正しい「生き方」を見つけるためにはどうしたら良いのでしょうか?

 

正直、人にアドバイスするタイプじゃないんだけどね…。
僕が言えるのは、自分が何をしたいかが分かるまでに時間がかかることがあるってことかな。最近は、自分が何者であるか、何を達成してどう貢献できるかを見定めなきゃいけないっていう社会的なプレッシャーがすごい。じゃあ、そうやって迷っている人たちはみんな落ちこぼれであり、怠け者だろうか?いや、そんなことは絶対にない。それを決めるまでに時間がかかることだってあるんだ。

 

心に空虚感があり、信じるものが何もなくてやる気をなくしている人たちは、ひたすらいろいろなことを探求・探索して、ひたすら観察してみてほしい。まったく重要じゃないバカバカしいと思うことにさえ、忠実でい続けることが大切だと思うんだ。
どんな時間も行動も、無駄になることはない。それは時がきたら実を結ぶのさ。花が咲くまで土を耕し続け、良い状態にしておくことだよ。だって、それは開花するものなんだから。

 

親や家族にとって、恥であり、ダメな人間だって思われていた人が、他人から見れば何でもないことに忠実であり続け、その数年後には、たくさんの人たちから慕われるようになった人たちを知っている。自分をさらけ出して、経験を分かち合うことほど正直なものはないんだよ。

 

自分の行動に忠実であり続ける。まずは、ここからなのですね。

 

そして、自分を見つめなおす時間が必要なんだ。タンジェに到着した時、僕は完全に人生に迷っていて絶望的だったんだ。賞をもらったり、世界中をツアーしたり、曲がラジオで流れたり…、それまでのキャリアが素晴らしいものだったとしても、悩むことは絶対にある。 僕は完全に疲れ切っていて、この先どうしたいのか分からなくなってしまったんだ。
戻ってくるのに2年かかった。世界が回るペースは僕にはあまりにも早すぎて、その2年間はただ詞を書きつづった。その過程で、何がなんでも進み続けなきゃっていうプレッシャーを手放したんだ。そうやって少しずつ平和を見つけ、自分の目では見ることができなかったものを認識できるようになった。

 

それは、今でも日々の決断だよ。失敗するんじゃないかっていう恐怖や不安との戦い。時に、あまり戦わずして勝つこともあれば、たくさん葛藤して戦っても結局負けることもある。でも今は、コントロールできないことを受け入れることに本当の勝利があると思ってるんだ。

 

忘れないで。君は、もう既に命の奇跡だ。不安や悩みに負けることはない。それは、自由へのチャンスであり、再び全てを再定義するチャンスでもあるんだよ。僕はそう信じている。

 

 
  

おわりに

 

最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 

まずは、さまざまなことを読者の君たちと分かち合う特権を与えてくれたことに感謝するよ。 そして今、僕にとって一番大事なのは、君たちを兄弟、姉妹、友人と呼べることに深く感謝すること。

 

個人的な意見を正直に話して交流することで、お互い人として成長し、それ故に、ずっと繋がっていられると信じてるんだ。だから、改めて、広い心で僕を歓迎してくれてどうもありがとう。僕にとって、大きな意味があるよ。

 

ありがとうございました!これからのAlex Henry Fosterさんの活躍を期待しています。

 

 
  

 
  

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この記事を書いた人

勝部 晃多

やる気ラボの娯楽記事担当。趣味は、プロ野球観戦(広島)・競馬(芦毛)・温泉(アルカリ性泉)・読書(古い小説)等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているとかいないとか。性格は柴犬のように「頑固」&「愚直」で、やる気ラボの成績向上のためには火水もいとわない男、と自称している。

 

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