子育て・教育

【子育て心理学(4)】子どもの「自律的な学び」をどう促すか【学業的援助要請】

2021.10.8

「子育て心理学」の連載では、子どもの成長&やる気アップに役立つ心理学知識を、子育てにお悩みの保護者の皆様に向けてわかりやすくお伝えしています。 第4回は「子どもの自律的な学び」がテーマです。「学業的援助要請」という考え方をもとに、子どもの「自律的な学び」を促すにはどうすればいいのか考えます。

 
 
 

子どもに「教えて」と言われたらどうするか

  

子どもから、「宿題がわからないから教えて」と言われたらどうしますか?

「勉強のことを聞かれても困るわ」と思うでしょうか。あるいは、家事で忙しいときだと、「もうちょっと自分で考えてみなさい」と言いたくなるかもしれませんね。

そういった消極的な(?)理由だけではなくて、「勉強は自分でするものだから、人に頼らず自分で解決する力をつけてほしい」と思う方もいるのではないかと思います。確かに、自分で問題を解決する力をつけるためには、簡単に助けを求めない方がいいように思いますね。

 
 
 

学業に関することで誰かに教えを求めることを「学業的援助要請」という

 

勉強で困ったときに、誰かに「教えて」とお願いすることを学業的援助要請といいます。ちょっと凄みのある言い方ですが、学業に関することで誰かに「教えて」と助けを求めることです。

ご自身の小学生や中学生のときを思い出してください。授業や宿題でわからないところがあったときに、「ねえねえ」と友だちに声をかけたことはなかったですか? それが学業的援助要請です。

     

    

   

「自律的な学び」には学業的援助要請をうまく行うことが重要

 

「勉強はやっぱり自分でしてほしいな」とか、「自分で学ぶ力って大事よね」と思う方は多いと思います。自分で問題を解決していけるような自律的な子どもに育ってくれたらなというのは、多くの親の願いでしょう。そうすると、「人に頼るのってどうなのかな…」と思ってしまいますね。

しかし、学業的援助要請をうまく行うことは、自律的な学びにとって必要なことだといわれています

学習を進めていくうえでは、どうしても自分だけでは解決できない問題に出会います。何の苦もなく学習を進めている子は、ほんの一握りでしょう。そういった場面で、「難しいな…もうやーめた」となってしまうのは、自律的な学びとはいえません。

自分で考えたり、ネットや本の情報を調べたりしながら、必要なときには他の人にも尋ねる。そうして、何とか自分なりに学習を進めていく。それが自律的な学びだと思います。

「えー、宿題の度に写させてって言ってくる人がいたけど、あれって自律的な学びなの?」という人もいるかもしれませんね。

とてもいいポイントです。当然、宿題の丸写しは、とても自律的な学びとはいえません。援助の求め方、つまり「教えて」というヘルプの出し方が大事です。

     

   

      

学業的援助要請には、「自律的援助要請」と「依存的援助要請」の2種類がある

  

学業的援助要請には、自律的援助要請と依存的援助要請の2種類があるといわれています。日本女子大学の瀬尾美紀子先生によると、この2種類の援助要請は、次の3点から区別できます。

①問題解決の主体
②必要性の吟味
③要請内容

つまり、本人が問題を解決しよう思い、どうしても助けが必要なときに、ヒントをもらおうとするのが自律的援助要請。一方で、誰かに解決してもらおうと思って、十分に考えることなく、答えを教えてもらおうとするのが依存的援助要請です。先ほどの「宿題、写させて」は、依存的援助要請の典型的な例ですね。

こうやって分けて考えてみると、確かに「教えて」も大事だと思えてきませんか?

「うーん」と考えてみてもどうしてもわからないので、ヒントをもらって自分で解決しようとする。それって、自律的な学び方だと思います。自律的に学ぶためには、うまく「教えて」と言うことが大事なのです。

   

  

  

子どもの「教えて」を注意深く見てみよう

     

さて、「宿題がわからないから教えて」と言われたらどうしましょうか?

まずは、「教えてって言ってもいいんだ」と子どもが思えていることが大事です。学年や年齢が上がるにつれて、子どもはだんだんと援助を求めなくなっていくことがわかっています。自分で解決できて困らないから援助を求めないのなら、まったく問題はありません。

でも、実際は「教えてって言ったら怒られる」とか「教えてもらうのは恥ずかしい」というような気持ちをもつようになっていきます。そうして、わからなくて困っているのに、「まあ、いいや」となってしまっていることが往々にしてあります。そうならないためには、「わからないときには教えてって言ってもいいんだ」と、子どもが思えるのは大事なことです。

ただ、もちろん何でもかんでも「教えて」では困ります。自分で問題を解決する力がつきません。答えを教えてもらおうとするような「教えて」なのか、自分で解決するための「教えて」なのかを注意深く見てみましょう。お子さんの「宿題教えて」はどちらでしょうか?

もし、依存的な援助要請になっているなら、自分自身での問題解決を促すように応じられるといいかもしれません。応じ方によっては、「教えて」の出し方も変わってきます。

「じゃあ、ヒントをあげるから、自分で考えてみようか」とか「どの部分がわかったら、考えられそう?」というのはどうでしょうか。その子自身が問題を解決することを意識して、自律的な「教えて」を促すように応じられるといいですね。

                

     

    

  


   

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(1) 子どもの成長のカギは「できない」の線を一歩踏み出すこと

(2) 子どもの才能がわかる「8つの知能」とは

(3) 子どもの「自尊心」をどう育むか

(4) 子どもの「自律的な学び」をどう促すか

 



この記事を書いた人

岡田 涼

香川大学教育学部 准教授。2008年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。11年、香川大学教育学部講師就任。13年、香川大学教育学部准教授、香川大学大学院教育学研究科准教授就任。現職。友人関係場面における自律的動機づけの役割や、学習場面における自律的動機づけなどを主な研究テーマとしている。 。

 
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