新納一哉さん、ゲーム開発にかける想い「やりたい気持ちに、ウソをつきたくない」
2020.07.29
仕事・働き方
2020.07.22
瀬迫貴士
有限会社フレンド常務取締役、ページ薬局薬剤師
1988年生まれ、広島県出身。兵庫医療大学卒。2019年6月に「1ヶ月100冊読書」を達成したことから出版業界への興味が湧き、2020年6月に薬局×本屋の「ページ薬局」をオープン。
ページ薬局
「人生を変えるような1ページと出会ってほしい」との願いから、「ページ」との名がついた。
住所: 大阪府豊中市蛍池東町2丁目3番6号シャンティー今谷101
TEL:06-4865-3778 FAX:06-4865-3779
営業時間:9:30〜18:30 ※土曜日のみ12:30まで
定休日:水曜、日曜、祝日
アクセス:
・大阪モノレール線 蛍池駅から徒歩で4分
・阪急宝塚線 蛍池駅から徒歩で3分
・大阪モノレール線 大阪空港駅から徒歩で25分
HP: https://page.friend-ltd.com/
本日はよろしくお願いいたします。
「薬局×本屋」、ユニークな発想ですよね。どんなことがきっかけでこのような企画があがったのでしょうか?
はじめは本屋を開業することになるとは夢にも思っていませんでした。ただ漠然と、「インプットを増やして何かに取り組んでみよう」と去年(2019年)の5月に大学時代の後輩と思い立ち、「 1ヶ月100冊読書 」のチャレンジをすることになったんです。まずそれが本に関わることになった大きなきっかけでした。
ちょっと待ってください!約1年前の時点ではまだ本屋をやることは意識されていなかったと。ということは開業準備の期間は1年もなかったということですか?
ええ、そうです。開業に向けて動き始めたのはもっと後のことなんですよ(笑)。
それは驚きです!
では、どのように自分一人の読書体験から、「本屋をやる」というアクティブな動きにシフトしていったのか教えてください。
はい。先ほどの続きで、100冊読もうと決めたはいいものの、特に読みたい本やジャンルが決まっていたわけではなかったんですね。そこでフェイスブックで、「100冊読書チャレンジをするのでおすすめの本を教えてください」と呼びかけてみることにしました。
思ったよりも多くの方から反応があり、いろんな本を紹介していただきました。そのうち、挙げてもらった本を読むことだけじゃなくて、「この本はおもしろいよ」や「次はこういうのを読んでみたら」と本を介してコミュニケーションをとっていくことが楽しいと思うようになりました。
そこから自分が読むだけじゃない本との関わりを考えていくようになったんです。
「本を手渡す側になる」という気持ちの転換には何かきっかけが?
ある時ふっと、「自分って意外と本屋が好きなんじゃないか」と気づいたんです。というのも、100冊読書チャレンジをする前からかれこれ5年以上、週1回どこかの本屋に行くようにしてきました。本屋に行くと世の中の動向や流行がわかっておもしろいんです。
でも今、街の本屋さんってどんどんなくなってきていますよね。「本屋にはいろんな発見があるのにどうして残っていかないんだろう」と思うようになりました。時代を経ても本屋が残っていく方法が何かないものか、と自分なりに考えるようになったんです。
街に本屋が残っていく方法として、薬局の中に開業することを思いつかれたんですか?
いえ、そうすぐに結びついたわけではありません。まずは地元の本屋さんに、人が集まる仕掛けづくりを提案してみようと、企画書を持ち込んだんですよ。何か一つ企画を実現して、経験を積めたら、自分で本屋を開業するのもいいかなと思っていました。
しかしなんだかんだでその話は流れてしまったんです。そんな折に自分の会社で新しく薬局をオープンさせるという話がありました。以前からぼんやりと「薬局に本を置くのもありじゃないかな」と思っていたので、このタイミングで「やってみるか」と腹をくくることにしました。
それはいつのことで?
去年の秋頃だったので、オープン日から数えるとおよそ8、9か月前のことですね。その後は意外にとんとん拍子に進んでいったんですよ(笑)。
そんな短期間で…!薬局と本屋では業務が全く異なると思うのですが、戸惑うことはなかったのですか?
やはり書店の業務はわからないことが多くて大変でした。何しろ自分自身、書店員として働いたことがないですし、現場のスタッフに仕事を指南するのも一苦労でした。
本屋の開業を目指す方が集う講座に通ってみたりはしたのですが、ある程度知識が得られても不安はあったので、後はもう「やってみないことにはわからないな」とわりきりました。今も手探りでやらせていただいています。
今日は本の納入日。
— ページ薬局 (@page_pharmacy) May 21, 2020
さっそくPOPを作ってみました! pic.twitter.com/y6tSz8a3UL
棚づくりには特に悩み、現役書店員さんから多数アドバイスをいただいたとのこと。
ツイッターでオープニングスタッフの募集を呼びかけられていましたが、採用された方々も書店勤務の経験はないのですか?
【拡散希望!本好きの薬剤師、調剤事務募集!】
— たねちゃん@「薬局×本屋」オープンしました! (@tanechan1129) February 19, 2020
2020年6月に大阪北摂、駅近で「薬局×本屋」という、薬局で本を販売する新店舗をオープンする予定です!
それに伴い、オープニングスタッフとして薬剤師、調剤事務(未経験可)を募集します!
詳細が気になる方はDM下さい!
ご連絡お待ちしております!! pic.twitter.com/7Qek3bDVjh
そうですね。ありがたいことに書店員経験がある方も応募してきてくださったんですが、厳正な審査を経て、結果的に経験がない方々となりました。
ですが今いるスタッフは意欲が大きく、コンセプトに興味を持っていただいた方ばかりです。スタッフ一丸となって本屋の部分も盛り上げていっています。
まだオープンされて日が浅いですが、「やってよかった!」という瞬間はありましたか?
購入にはいたらなかったんですが、一つ印象に残ることがありました。
親子連れが薬局利用でいらっしゃった時、薬をお出しする待ち時間の間に、絵本を読まれていました。調剤薬局での薬を待つ時間というのは、患者さんにとってデメリットな部分なんです。
だからその光景を見た時、少しでも待ち時間を楽しく過ごしていただけることにつながったのなら、「やってよかったな」と思いました。
本来の職分である薬局にも良い影響が見られたのですね。
薬局利用でいらっしゃった方の中には購入してくださった方もいます。その方も薬を待っている間に、実用書の棚を時間つぶしに見られていて、最終的に料理本をお買い上げくださいました。
恐らく最初は特に目的なくご覧になっていたと思うんです。だけど見ているうちに「これはおもしろそうだな」と思って買っていただけたのではないかなと想像しています。そうやって偶発的な本との出会いを創出できたことも嬉しく思います。
今日は調剤待ちの間に、患者さんに初めて本をお買い上げいただきました😊
— ページ薬局 (@page_pharmacy) June 9, 2020
「偶然の出会い」だと感じてもらえてますように☺️✨ pic.twitter.com/nDsCTnQglu
「薬局×本屋」という形態が実際にお客様にとって有益なものであるとわかると、瀬迫さんはじめスタッフの方々のやる気アップにもつながりますよね!
そうですね。ツイッターでも反響をいただいてありがたいことです。本関係の方からも薬剤師の方からも、「ありそうでなかった」「このビジネスモデルはいい!」などのお声をいただいています。
どちらの業界にも好意的に受け入れられて「これからも頑張っていくぞ」というモチベーションになっていますね。
最後に、まだ始められたばかりの取り組みですが、今後の目標を教えてください。
「薬局×本屋」として最大のねらいは、ふだん本屋に行かない方に本と出会っていただくことです。どうやったら本に興味を持っていただけるかは、まだまだ工夫の余地があると思うので、チャレンジを重ねていきたいです。
《立ち読みならぬ、座り読み》
— ページ薬局 (@page_pharmacy) June 18, 2020
薬局の待合室のソファーに、短時間でも楽しめる本を設置してみました。
調剤の待ち時間などに、普段本を読まれない方にも手に取って頂いて
「読書も良いもんだなぁ」
と本に興味を持って頂けたら幸いです。 pic.twitter.com/kNT1eHgTba
もちろん本好きの方にもお越しいただきたいと思っています。処方箋なしで薬局に来るケースはそんなに多くあることではないので、気軽に立ち寄っていただけるのならそれは喜ばしいことです。
今後に向けては、本屋の部分にもっと自分たちの職分を活かしていけるのではないかと考えています。薬局はもともと地域に密接した施設で、薬剤師の仕事は地元民に寄り添い、密にコミュニケーションを取ることが大事なんです。
自分たちの強みを活かして、例えば、本を買いに来た方が健康で気になることがあった際に、相談を受けることができるんじゃないかとイメージを膨らませています。
薬局と本屋、相互に作用できるように工夫し、このビジネスモデルを確立させていくことも目標ですね。
たしかに薬剤師の方は、患者さんの症状に耳を傾け、薬の服用法などを丁寧に伝えられています。ふだんの業務で鍛えられているコミュニケーションスキルが、本を求められて来た方にも発揮されそうですね。
今回は薬局と本屋どちらにも全力を注がれる、やる気いっぱいのお話を伺うことができました。ありがとうございました!
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この記事を編集した人
ほんのまともみ
やる気ラボライター。様々な活躍をする人の「物語」や哲学を書き起こすことにやりがいを感じながら励みます。JPIC読書アドバイザー27期。