仕事・働き方

「パフェねこ」作者・Jamさんが悩みを力に変えた話。「悩みやすい自分に付き合い続けて私は前へ踏み出せた」

2022.10.13

Jamさんインタビュー タイトル画像
日常で起こる人間関係のモヤモヤを描いたマンガ「パフェねこ」シリーズがTwitterで大きな話題となったJamさん。Jamさんはもともと悩みを抱え込みやすいタイプで、長い間悩みとの付き合い方を試行錯誤してきたといいます。しかし悩み続けてきた自分があったからこそ、Jamさんはさまざまなことを発見し、前へ進んでこられました。

 


 

Jamさん アイコン

Jam(じゃむ)

イラストレーター、漫画家。日常で起こる人間関係の悩みを描いたマンガ「パフェねこ」シリーズがTwitterで累計50万以上リツイートされるほど話題になる。著書に『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)、『にゃんしゃりで心のお片づけ。』(PHP研究所)、『言いにくいことははっきり言うにゃん』(笠間書院)、『いつも心に猫ちゃんを』(PHP研究所)など。

ホームページ:-FILTER JAM`S ART ZONE-

 

 

自分自身悩んできたことが作品を生み出す糧に


  

――早速ですが、『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』を最初に見たときは衝撃でした!表紙のマンガに目が行って、「ハッ」としました(笑)。

 

『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』
著者:Jam 監修;名越康文
発行:サンクチュアリ出版

表紙のマンガはTwitterで大きな反響を呼び、「パフェねこ」と親しまれるようになった。

 

ありがとうございます(笑)。

 

――他にも「ハッ」とすることが満載で楽しく読ませていただきました。もともとJamさんが悩まれてきたことがお話になっているんですよね?

 

すべてが私の体験というわけではないんですが、これまで自分が悩むなかでさまざまな対処法を試してきて、「これはよかったな」という考え方を掲載しています。

 

Jamさん 作品
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』より「どうしても合わない人がいる」
著者:Jam 監修;名越康文
発行:サンクチュアリ出版

 

――本にもありましたが、Jamさんは「悩みが多い人間」だったそうですね。

 

今も悩みは尽きないですけどね(笑)。昔から仕事や人間関係、恋愛など多くのことに悩んできました。私は「自分の意思を伝えるのが苦手なタイプ」で、それが全部の悩みに繋がっていたように思います。頼まれると断れないし、イヤなことをイヤと言えなくて。我慢するほうを選んでしまうんですよね(笑)。

 

――自分で抱え込んでしまうのですね。

 

そうなんです。だから何か困ったことがあっても人に相談するよりまず自分でなんとかしようという思考が働いて。それでこれまでいろんな対処法を考えてきたんです。

 

――悩んでは対処法を考えるという経験が作品を生み出す糧になっているのでしょうか?

 

そう思います。自分にノーと言えない質だから結局悩みからも離れられなくて、常に自分を納得させる方法を考えてきました。そうやって築いた物事の捉え方や考え方がメンタル系の本を作る際にも活きていると思います。

絵を描くことを続けてこられたのも、自分にノーと言えない欠点があったからこそでした。自分の絵にはだいぶコンプレックスがあったんですが、ノーと言えないおかげで途中でやめないで済んだんです。

 

コンプレックスがあっても好きなことを貫き通した


 

――Jamさんはいつ頃から、絵を描く仕事を目指したんですか?

 

幼稚園ぐらいからです(笑)。物心ついたときから将来は何かしら絵を描く職業に就こうと決めていました。

 

――早くに夢が決まったんですね。進学もそういった選択を?

 

大学は家庭の都合で高校に推薦枠があるなかからしか選べなかったんですが、1校だけグラフィックデザインが学べる学科があってそこに進学しました。でもその学科は新しくできたばかりであまり専門的に学べず、就職課にデザイン系の就職情報もほとんどなかったんですよね。

それでもどうしても絵の関係の仕事がしたかったので、結局自分でアルバイト求人誌で探して応募しました。デザインの専門知識は働きながら覚えていきましたね。

 

 

――執念で夢を叶えたんですね。でもさっきのお話だとコンプレックスがあったとのことですが?

 

就職したのはゲーム会社だったんですけど、とにかくまわりの人の絵が上手すぎて…自分と比べてすごく落ち込んでしまったんです。追い打ちをかけるように会社の上司の一人には、「キャラクターを描くのは向いていないね」と言われ、ますます自信喪失して。後から聞いた話では、私に背景画を担当させたかったからそう言ったらしいのですが…。

 

――本当はキャラクターを描きたかったんですか?

 

ええ。今思えば、自分から「キャラ描きたいです!」って言えばよかったんですよね。でもそういうことが言える性格ではなかったですし、絵が上手な人たちに囲まれながら描くのは怖かったです。

 

――コンプレックスを抱きながら絵の仕事を続けるのはつらかったですよね。

 

正直イヤになったこともありますよ。仕事帰りの電車で外をぼーっと眺めて、「もういいや。仕事やめようかな、絵もやめちゃおうかな」なんて思って。でもやめなかった。「もういいや」と思っても投げ出せなかったんです。自分にノーと言えないから(笑)。絵を描いていたい気持ちも捨てられませんでした。

結局、コンプレックスがあっても好きなことをしていたいからやめないと決めました。それに、仕事で描けないものがあっても趣味で描けばいいと思ったんです。描くことさえやめなければ、描く場所は変えてもいいんだと。

 

――描く場所を変えることで誕生したのが「パフェねこ」なのでしょうか?

 

ゲーム会社に16年勤めた後フリーのデザイナーになって、趣味で描いた絵をTwitterにアップするようになりました。「パフェねこ」はそのライフワークの一環で生まれ、直接のきっかけは2016年4月に熊本地震が発生したときに投稿したマンガでした。

当時、熊本にSNSの常連のフォロワーさんがいて心配で、何か自分にできることをしたいと思ったんです。それで猫が主人公の4コママンガを描くことにして。炎上が怖い気持ちもあったんですが、東日本大震災のときに自粛ムードで知人のイベント会社が倒産したことから自粛はよくないという想いがあり、「動ける人は動いて自粛はやめたほうがいいんじゃないか」というメッセージを発信しました。

その投稿が意外にも反響が大きくて。他にも何か投稿してみようという気になり、次に描いたのが「パフェねこ」でした。

 

――猫に語らせる形にしたのは何か理由があったんですか?

 

自分が猫を飼っていたから身近だったというのもありますが、心のモヤモヤを描くのに直接的でリアルな表現を用いると受け入れられにくいんじゃないかと思ったんですね。マンガの形式を取ったのも同じ理由です。あまり自分の意見を押しつけたくありませんし、猫の姿を借りることで気軽に見てもらえるようにしたかったんですよね。

 

頭ごなしは自分がイヤだったから、提案するつもりで


 

――押しつけがないのは私も本を読んで感じたことでした。やはり意識して作られているんですね。

 

マウントを取ったり、上から言ったりは、絶対にしないようにと気をつけています。それは自分が悩んで本を読んだり人に相談したりしたときに、頭ごなしはイヤだと感じたからなんですよね。教えてあげるという姿勢だとカチンとくると言いますか(笑)。だから私は提案するだけにしようと考えていて。読者のみなさんにはいいと思った対処法だけを使っていただければと思います。

  

――対処法と言えば、Jamさんの作品には悩みを身近なものに置き換える手法がよく出てきますよね。『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』では、「嫌な人のことを考えるのは、一緒に住んで家賃を払ってあげてるのと同じ」との見解が印象的でした(笑)。

 

Jamさん 作品
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』より「嫌な人のことをずっと考えてしまう」
著者:Jam 監修;名越康文
発行:サンクチュアリ出版

 

ありがとうございます(笑)。
できるだけ誰にでもありそうな日常に例えようと思って作っているんですよ。「嫌な人のことをずっと考えてしまう」の悩みについては、生活していれば家賃を払うことだってあるよね?という発想で描きました(笑)。

 

――『いつも心に猫ちゃんを』も、モヤモヤを猫の立場に置き換えられていてわかりやすかったです。

 

『いつも心に猫ちゃんを』
『いつも心に猫ちゃんを』
著者:Jam
発行:PHP研究所

 

『いつも心に猫ちゃんを』は、20年近く猫と暮らしてきたことからいつか本にできたらと温めていた企画でした。うちには昔、5匹の猫がいたんですが、血のつながりがありながらもみんな性格が全くちがったんですよね。内向的な子もいれば気が強い子もいて。その多様な猫たちのおかげで発見がたくさんあって、私は救われたんです。

 

――多様な猫たちと暮らすうちに見方が広がったのでしょうか?

 

ええ。毎日お世話するなかで、猫の世界にも人間関係のようなものがあるんだと気づいて、事あるごとに猫の気持ちを考えるようになりました。猫のことを考える暮らしになると今度は人間と比べて、「猫からしたらこうかもしれないな」と考えるようになって。この本にはそうした猫たちを観察して得たヒントが詰まっているんですよ。

 

Jamさん 作品
『いつも心に猫ちゃんを』より「臨機応変でいい」
著者:Jam
発行:PHP研究所

 

――確かに「猫ならこうだよね」と思うと気が楽になるエピソードばかりでした。

 

Jamさん 作品
『いつも心に猫ちゃんを』より「機嫌が悪いのは何故?」
著者:Jam
発行:PHP研究所

 

悩みって場面を変えないといい答えが出てこないと思うんですよね。私の場合は猫のことを考えることで悩みの見方を変えることができたんですが、べつに猫じゃなくても、身近な友人のことと置き換えてもいいと思いますよ。

大切な友人が悩んでいると思うと、何とかしてあげなきゃという気持ちが湧いてきますよね。元気づけてあげたいなって。相談される側に立ってどんな声をかけたらいいかと考えると、けっこう答えが浮かぶものなんですよ。

例えば、落ち込みやすいという悩みだったら「繊細なんだね」とか。すぐ怒ってしまうという悩みだったら「感情豊かなんだね」や「私は優しくないから人のことで怒れないよ」とか。

 

――他人のことだと思うと、悩みを客観視できるんですね。

 

猫と暮らしたことから私は自然とこの置き換えるワークができるようになって、悩みと距離が取れるようになりました。今では自分の悩みに役立つだけじゃなくて、作品づくりにも活かされているんですよ。本に描いていることはすべてが自分の経験ではないので、経験にないことは目の前の友人の相談に乗るつもりで考えています。

 

――投げ出さないで悩みと向き合ってきたことがプラスに働くようになったんですね。

 

思えば、私は悩みを利用しちゃえというタイプだったのかもしれませんね(笑)。ノーと言えない性格だと自分でわかっているから、それを利点に持っていけばいいって開き直った結果が今なのかもしれません。

 

――今後も「ハッ」とするお話を楽しみにしています!ありがとうございました!

 

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応募は締め切りました。ありがとうございました。

 

 


 

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この記事を編集した人

ほんのまともみ

やる気ラボライター。様々な活躍をする人の「物語」や哲学を書き起こすことにやりがいを感じながら励みます。JPIC読書アドバイザー27期。



 
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