やる気レポート

トーマスの教育的効果は、子どもの“非認知能力”。「このキャラが好きな子は非認知能力が高い」はあるのか?

2019.08.20

【幼児】【小学生】【保護者】
「きかんしゃトーマス」を研究した東京学芸大こども未来研究所に、きかんしゃトーマスの教育的効果についてうかがいました。
お話から見えてきたのは、きかんしゃトーマスは「子どもたちの主体性や社会性といった“目に見えない力”に働きかけているのではないか」――ということです。

 
 
 

こんにちは。やる気ラボの川崎です。

 

なぜこんなにもトーマスは子どものやる気スイッチを入れるのか。前回、子どもたちはトーマスでの遊びを通して「小さな社会」を追体験しているというお話をうかがいました。

 

第2回では、そうした遊びが子どもたちのどんな力を伸ばしているのかをうかがいます。

 

キャラクター人気についてもふれています。正直なところ、いち保護者としては「ジェームス好きよりパーシー好きな子の方が何となく良い子に育ちそう」な気がしてしまうものですが、果たして…?

 

#1 子どもたちはなぜ「きかんしゃトーマス」に夢中になるのか。東京学芸大学の研究所が見つけた答え

#2 トーマスの教育的効果は、子どもの“非認知能力”にあり! 「このキャラが好きな子は非認知能力が高い」はあるのか?

#3 子どもに“分かってもらう”必要はない。親としての「きかんしゃトーマス」でのより良い接し方

 
 
 

トーマスは子どもの「非認知能力(目に見えない力)」に働きかけている

 

今回の研究発表によると「きかんしゃトーマスのアニメ視聴は、子どもの非認知能力向上への期待ができる」――とあります。

きかんしゃトーマスに夢中になっている子どもをもつ親としては、トーマスの教育的効果として“非認知能力に良い影響”というのは、とても気になります。

ただ…

 

非認知能力って何なのか、分かりにくいですよね。

 

そうなんです…。

 
「ですよね」
 

人によってさまざまな定義の仕方があると思いますが、今回の研究において、先生方はどのようにお考えになりましたか?

 

シンプルに言えば――ちょっと身も蓋もない言い方ですが――認知能力ではない力です。

認知能力とは、数、言葉、色の理解といった、到達度テストで測れる力を指します。

非認知能力は、そういったものではない力。

 

言わば「テストで測れない力」――ですか。

 

ええ。例えば、「物事に集中して取り組む」「難題に立ち向かう」「他者と力を合わせる」「主体性、自己肯定感を持つ」といった社会的・情動的な能力が、非認知能力です。従来は「性格」「個性」といった言葉でとらえられていたものですね。

 

社会で生きていくための力と言ってもいいかもしれません。僕たちが所属している社会や文化はあいまいでとらえどころのない、実体の見えにくいものであり、そこで生きていくための力――というイメージを持っています。

 

かつて、日本では認知能力の育成に重きが置かれていたんですよね。例えば、計算が素早くできたりする力がそうです。

ただ、近年はAIの発達や、産業構造の大きな変化なんかがあって、どうもそれだけではうまく生きていけないのではないかという話になってきた。いまや、計算などの作業が人よりも早いといった能力は、あまり市場価値を感じられなくなってきています。

もちろん、認知能力も必要ですし重要です。ただ、非認知能力も育てていかなければいけないとなるのは、現代社会の自然な流れなのかなと。

 
「認知と非認知、バランスよく
伸ばしたいものですね」
 

そうした力、子どもがこれからの未来に向かって「やる気」になって歩んでもらうには欠かせないと思います。

 
 
 

遊びが、非認知能力につながる学びに

 

第1回の、子どもがトーマスで遊びながら「小さな社会の追体験」をくりかえすというのは、非認知能力(社会で生きていくための力)の醸成に大きな効果がありそうです。

 
やや過密社会な気がしないでもないけど
 

そうだと思いますよ。
ともすれば、私たちは、子どもの「遊び」と「学び」をそれぞれ別ものだと考えがちです。しかし、子どもたちは「遊び」という自発的な活動を通じて、多くのものを「学び」取っています。そこをうながす上で、トーマスの存在は大きいと思います。

 

(役に立つ機関車だなぁ…)

 

非認知能力に目を向けてみると、お子さんの見守り方や働きかけ方もまた変わってくると思います。

 

というと?

 
「例えばですね…」
 

きかんしゃトーマスで説明すると、「うちの子がキャラクターの名前を覚えました」「トーマスで数字を覚えました」「色を覚えました」というのは、お子さんの認知能力になります。

そこを無視しろというわけじゃないですが、そういう個人としての「できた・できなかった」ばかりを見るのって、うまくいかなくて焦ったり、ほかの子と比べちゃったりと、相当ストレスが貯まります。保護者のそういう姿って子どもに伝わるものですよ。そしてやる気を削いでしまう。

でも、「うちの子が、幼稚園でトーマスのおもちゃで遊びはじめました」「 トーマスをきっかけに『公平にする』ことについて考えはじめました 」「友だちと『あのキャラクターのいいところと悪いところ』を話したりしていました といった見方もあるじゃないですか。非認知能力とはそういう、個人としてのあり方よりももっと広い、社会的なかかわりがポイントなんです。

 

ああ、それはありますね!

 

お子さんのそうした遊び方の変化を見ていくように視点を変えてみると、また違った子育てができるのかなと思います。

 
 
 

「どのキャラが好きか」は特に問題ではない

 

きかんしゃトーマスにはいろんなキャラクターがいますが「このキャラクターが好きな子は非認知能力が高い」というのはあるのでしょうか?

率直に言ってしまうと、ジェームス好きな子よりパーシー好きな子のほうがなんか社会性ありそうな気がしちゃうんですよね…。

 
赤いのがジェームス、緑がパーシーです
 

お気持ちは分かります(苦笑)

実際、保護者の方から「うちの子ってジェームス大好きすぎるんですけど将来大丈夫でしょうか?」と相談されたことがあります。私。

 

ジェームスもあれでいいところはあるんですけど、だって…。ねぇ…。

 

ただ、今回の研究で、子どもが好きになるキャラクターと子どもの非認知能力の程度には、特に関連性がないということが分かったんですよ。つまり「このキャラクターが好きな子どもは特に非認知能力が高い」あるいは「低い」というのはない、と。

 

おお。そうなんですね!

 

あと、子どもたちのキャラクター人気はかなりバラけているんです。質問紙を使用して好きなキャラクターを聞いたのですけど、主人公のトーマスに集中するかと思えばそうでもなかったり、機関車ではないヘリコプターやクレーンなどのキャラクターにも票が集まったりと、さまざまでした。

 

回答者の子どもが特に好きな「きかんしゃトーマス」のキャラクターのランキング。この結果と非認知能力の関連性は見られなかったそうです

 
 
 

保護者の回答から見えてきたこと

 

質問紙では、ほかにどんなことを聞いたのですか?

 

今回のテーマは非認知能力でしたので、「きかんしゃトーマス」に興味のある子どもをもつ保護者の方を対象に、お子さんの能力やパーソナリティ、保護者の方の教育観、アニメやおもちゃに対して思っていることなどを聞きました。

 

ふむふむ。

 

その結果、「きかんしゃトーマス」に興味のあるお子さんから、遊びに集中して取り組んだり、遊びや生活の中で自発的な姿がみられると分かりました。「社会のルールへの理解」「人の役に立つこと」「思いやりや協力」といったものですね。

 

社会性が育まれていますね…!

 

あと、見逃せないのは「認知能力」にも好影響なのが分かってきたことですね。文字や言葉の理解、数字の理解、音楽や色への興味などが見てとれました。

 

先ほどのお話にあった「数字はトーマスで覚えました」「色をトーマスで覚えました」といったものも、それはそれであると。

 
どれもカラフルですからね
 

こういったことから、「きかんしゃトーマス」に夢中になっている子どもは、認知能力と非認知能力のバランスの取れた土台形成が期待できると考えられるのです。

 

なるほど…。

 
(やっぱり役に立つ機関車だなぁ…)
 

ところで、この調査って、今回はあくまで「きかんしゃトーマス」に興味がある子どものみが調査対象なんですか?

 

そうですね。本当はトーマスに興味のないお子さんの保護者さんにも回答していただいて、比較するのがいちばんいい方法だったのですが…。

今回、「お子さんはどのぐらいトーマスの興味がありますか」という質問項目を設けるという形式を取ったんです。

そうしたら、回答者の9割以上が 「とてもある」または「ある」 と。

 

なんと――!

 

結果として比較検討はできなかったため、今回の研究発表では、全体ではこういう回答がありこういう傾向が見て取れましたという分析のやり方になりました。

 

みんなトーマス大好きすぎ。

 

(第3回につづく)

 

#1 子どもたちはなぜ「きかんしゃトーマス」に夢中になるのか。東京学芸大学の研究所が見つけた答え

#2 トーマスの教育的効果は、子どもの“非認知能力”にあり! 「このキャラが好きな子は非認知能力が高い」はあるのか?

#3 子どもに“分かってもらう”必要はない。親としての「きかんしゃトーマス」でのより良い接し方

 

研究資料はこちら

(c)2019 Gullane (Thomas) Limited.

 
 
 
 
 
 

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この記事を書いた人

川崎 健輔

やる気ラボ研究員。1987年生まれ。横浜育ち。1児の父。教育系の業界新聞を書いていました。あっちに首をつっこんだりこっちに鼻をつっこんだりしています。差し入れされて嬉しいのはバームロールです。鳴きます。
(Twitter ▶ @kwskknsk

 
 
 

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