子育て・教育

【3分解説】やる気の活かし方を知っている? 「学習方略」が勉強を続けるカギ|保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方(3)

2019.04.2

【幼児】【小学生】【中学生】【高校生】【保護者】
・三日坊主という悩み――やる気を“続ける”のは難しい。
・どうやって勉強をがんばったらいいか、勉強の仕方、すなわち「学習方略」がポイント。
・日常生活のちょっとした工夫 ≒ 勉強するときのちょっとした工夫。保護者のみなさまが普段している工夫を子どもに話して聞かせることが、新たな気づきにつながるかも。

【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?



<第3回>「やる気」の活かし方を知っている?

 「4月になったし、この機会に何か始めてみようかしら」と思っている方もいるかもしれませんね。そんな風に、何かのタイミングでやる気が湧き出てくることがあります。

 子どもでも、ふとした拍子にやる気が湧き出てきて、勉強に取り組むことはあるでしょう。傍から見ていても、「あれ、珍しくやる気になっているわ」と思って、少し安心します。しかし、それがなかなか続かないのが難しいところで、「昨日のやる気はどこにいったのよ」とがっかりすることも少なくありません。

 一度湧き起こったやる気を持続させるのは、なかなか簡単ではありません。昔から「三日坊主」というように、やる気になって「始めた」としても、それを「続ける」のが難しいようですね。

 やる気を持続させるのが難しいのは、やる気の活かし方を知らないからかもしれません。「勉強をがんばろう!」という気持ちになり、机に向かったとします。ですが、何から手をつけていいのか、どんな風に勉強したらいいのかがわからなければ、少しブレーキがかかります。「とりあえずやればいいんだ」と思って、やみくもに問題集を解き始めたとしても、やり方が効率的でないと、いまひとつうまくいきません。そのうちに、最初の「勉強をがんばろう!」という気持ちもいつしか消えていくでしょう。

 「がんばる」という気持ちはもちろん大事なのですが、「どうやってがんばったらいいか」を知っていることも必要です。どうやって勉強をがんばったらいいかは、勉強の仕方だと言えるでしょう。勉強の仕方のことを「学習方略」と言います。少し堅い感じがしますが、勉強するときのちょっとした工夫だと思ってください。

 たとえば、同じ算数の問題集を3ページやらないといけないときに、一気に続けてやるのは効率的ではないかもしれません。1ページずつ答え合わせをしながら取り組んだ方が、集中力が続くことがあります。あるいは、英語の長文を読むときに、ただ漠然と読んでいくと途中でわからなくなります。要領のよい子は、段落ごとに「ここまではわかったかな?」と自分に問いかけてから次に進むようにしていたりします。

 このように、勉強するときのちょっとした工夫が学習方略です。「方程式の解き方」のような教科に特有のものだけではなく、「事前に目標を立てる」とか「自分が理解できているかを所々で確認する」など、いろいろな勉強に通じるような学習方略がたくさんあります。

 やみくもに問題を解こうとするような根性論では、やはり限界があります。自分にあった効率的なやり方で取り組めば、成果もついてきて、やる気も長続きするでしょう。そういった意味で、やる気の活かし方を知っているかどうかが実は大事なのです。

 一度、お子さんがどのような勉強のやり方をしているかに注目してみるとよいかもしれません。子どもは意外に勉強の仕方を知らなかったりします。勉強の仕方に注目してみて、「このやり方は効率が悪そうだな」と思ったら、ぜひもっと効率のよいやり方を一緒に考えてみてください。

 「勉強なんて長いことしていないから、一緒に考えてと言われても困るわ」と思われた方もいるかもしれませんね。それほど難しく考えなくても大丈夫です。普段の生活の中にもさまざまなヒントがあります。

 たとえば、買い物をするときに、忘れないようにあらかじめ買う物をメモしたりしていませんか? あるいは、家計簿をつけるときに、項目ごとにレシートを整理してから書いたりしませんか? 忘れないようにメモをすることや、わかりやすくなるように整理してからとりかかるといったことは、勉強においても役立つ方法です。

 他にも、ご自身やご家族が、職場でどんな風に仕事をしているかを考えてみるのもおもしろいかもしれません。仕事を効率的にこなすために、工夫していることはありませんか? それを子どもに話してあげることが、お子さんにとって気づきになることもあります。

 やる気を「続ける」のは大人でも簡単ではありません。子どもがふとやる気になったタイミングを逃さずに、やる気を活かしていく方法を一緒に考えていけるとよいですね。

【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回 誰のために「やる気」になる?

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この記事を書いた人

岡田 涼

香川大学教育学部 准教授。2008年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。11年、香川大学教育学部講師就任。13年、香川大学教育学部准教授、香川大学大学院教育学研究科准教授就任。現職。友人関係場面における自律的動機づけの役割や、学習場面における自律的動機づけなどを主な研究テーマとしている。

 
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