やる気レポート

【3分解説】やる気は、うつる? 「動機づけの社会的伝達」を分かりやすく説明!|保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方(4)

2019.05.3

【幼児】【小学生】【中学生】【高校生】【保護者】
・風邪と同じように、やる気も人から人へうつる。これを「動機づけの社会的伝達」という。
・何か新しいことをするとき、他の人がどんな風に取り組んでいるのかが、やる気が持てるかどうかの参考になっている。
・子どもにとって、まわりにいる人の「やる気」の影響は大きい。

【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回  誰のために「やる気」になる?



<第4回>「やる気」はうつる?

 子どもが咳をしていたり、鼻をぐずぐずしていたら、「学校でもらってきたのかしら」と心配になりますね。自分が少し熱っぽいときだったら、「私の風邪がうつったのかも」と考えるかもしれません。風邪は近くにいる人からうつることがあります。

 実は、やる気も人からうつります。

 これまでに、他の人がやる気になっていたので、つられて自分もやる気になっていたということはありませんか? たとえば、中学校のときの合唱コンクール。もともとそんなに歌は好きじゃないけれど、クラスのみんなが優勝を目指して一生懸命なので、ついつい自分も一生懸命に歌っていたというようなことがあるかもしれません。あるいは、社会の先生がとても熱心に歴史の面白さを語るので、いつしか自分も歴史の勉強に夢中になっていたというようなこともありそうです。

 いつのまにか一生懸命になっていたり、何かに興味をもつようになっていたりと、知らないうちにやる気になっている自分に気づくことがあります。そのきっかけは、案外他の人から感化されたということが多いのです。

 

 一つおもしろい実験を紹介しましょう。実験は、高校生が参加した運動教室で行われました。その運動教室では、先生からあるスポーツ競技のやり方を教わります。その際、教えてくれる先生の「やる気」に関する情報を高校生に伝えました。半分の高校生には、「先生はその競技を教えることに熱意があって、自分からボランティアで来てくれている」ということを伝えました。残りの半分の高校生には、「先生には高い給料を払って来てもらっている」ということを伝えました。第1回の際にお話した内発的動機づけと外発的動機づけですね。

 すると、教えられた高校生自身のやる気も変わっていきました。先生に「熱意がある」ということを伝えられた高校生の方が、その競技により興味をもち、実際に長く取り組んだのです。

 この実験にはもう一つおもしろい点があります。実験の後半で、先生に教わった高校生が、他の高校生にも競技のやり方を教えました。すると、興味が高まった高校生に教えられた他の高校生たちも、同じようにその競技に興味をもって長く取り組んだのです。まるで、風邪が人から人へうつるように、やる気も伝わっていきました。このことを「動機づけの社会的伝達」と言います。

 どうしてやる気はうつるのでしょうか? 何か新しいことをするときには、やりがいがあるものなのか、興味をもてそうなものなのかどうかは、あまりよくわかりませんね。そんなときには、他の人がどんな風に取り組んでいるのかが大きな情報になります。新しい内容を学ぶ際に、先生が熱意をもって教えてくれたり、友だちが興味をもって取り組んでいたら、何となく「やりがいがあるのかな」とか「おもしろいものなのかな」と感じるでしょう。そうして、気づくと自分も同じように一生懸命取り組んでいたり、興味をもっていたりするのです。

 

 そう考えると、子どものまわりにいる人が、やる気をもっているかどうかは大事です。特に、いろいろな物事に興味を示す人がいることは、子どものやる気に影響しそうですね。みなさんは、テレビで流れるニュースや、お子さんが話してくれる勉強のことに興味を示していますか? たとえば、ブラックホールが世界で初めて撮影されたとき、どんなリアクションをしましたか? 風邪ではなくて、保護者のみなさんのやる気がうつってくれるといいですね。

 
 

【連載】保護者にオススメ! 子どもの「やる気」の引き出し方
第1回 どんな「やる気」を育てたい?
第2回 自分で決めると「やる気」が出る?
第3回 「やる気」の活かし方を知っている?
第4回 「やる気」はうつる?
第5回 「わからない」がわかると「やる気」になる?
第6回  誰のために「やる気」になる?

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この記事を書いた人

岡田 涼

香川大学教育学部 准教授。2008年、名古屋大学大学院教育発達科学研究科修了。11年、香川大学教育学部講師就任。13年、香川大学教育学部准教授、香川大学大学院教育学研究科准教授就任。現職。友人関係場面における自律的動機づけの役割や、学習場面における自律的動機づけなどを主な研究テーマとしている。 。

 
 

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