やる気の出るモノとコト

【やる気が出てくる世界の言葉】「約束の国への長い旅」人を思いやる心を養ってくれる言葉

2019.12.12

親子で学びたい。我が子に伝えたい。そんな気持ちになれる、やる気が出てくる世界の言葉。歴史上の偉人や名著からピックアップ。その言葉はどうして出てきたのか、お伝えしていきます。
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「ジコチュー」って、子ども時代によく耳にしたり口にしたりしませんでしたか?「自己中心的」の略ですが、何とも口にしやすくポップな響きもあり、筆者の中では、子どもの悪口の定番といったイメージです。

 

こんなことをお友達に向かって言ってほしくはありませんが、自分がそう言われてしまうなんてこともあるかもしれません。

 

でも、誰だってジコチューな面を持っているし、そのこと自体は悪いことではありませんよね。

少しでも相手の立場に立って考え、行動することができれば、お子さんにとって大きな一歩になるはずです。そんなお子さんに伝えたい言葉をご紹介します。

 

やる気が出てくる世界の言葉】:
あなたがあなた自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい


約束の国への長い旅/篠輝久 著

 

杉原千畝(すぎはら ちうね)さんを知っていますか。彼は、日本領事としてリトアニアに赴任していた1940年、ナチス・ドイツから逃れてきたユダヤ人達にビザを発行し多くの命を救った人物です。有名な人物ですから、親御さんたちはご存知でしょう。でもお子さんたちはどうですか?

 
杉原千畝
 

杉原さんは、1940年7月18日の朝、リトアニア、カウナス領事館の前に列をなす人々の声で目を覚まします。

 

彼らは、ナチス支配下から命からがら逃げてきたユダヤ人で、日本を通過し安全な国へ行くためのビザを求めて日本領事館に殺到したのでした。

 

杉原さんは戸惑います。なぜなら、時は第二次世界大戦中。日本はドイツと同盟を結んでおり、彼の一存でビザを発行するわけにはいかない状況でした。

 
 

当時はどの省庁も軍部の言いなりでした。何度も日本に許可を求める杉本さんですが、政治的に許可できないという外務省との交渉はいつまで経ってもらちが明かず、とうとう独断でユダヤ人たちにビザを発行したのでした。

 

戦火が迫る中、領事館を閉鎖しなければならなくなり、本省からベルリン異動を命じられて汽車に乗るその瞬間まで、杉原さんはビザを発行し続けました。

 

その行動は外務省からの罷免だけではなく、家族にも危険が及ぶかもしれないという犠牲を覚悟したうえでの、杉原さん自身の人道を貫くものでした。

 

戦後、杉原さんは本庁の命令を無視したということで追求を受け、外務省を去ります。その後は豊かな語学力や経験を活かして様々な職を歴任しますが、貿易会社に勤めていたある日、彼を知っていると言う外国人が訪ねてきたといいます。

 

よくよく聞くと、1940年、あのカウナスの領事館で杉原さんがビザを発行したユダヤ人のひとりだったそうです。あのときに杉原さんのビザで救われた人は数知れず。

 
 

この本の筆者、篠 輝久さんは、インタビューの中では、今でも過去の恐怖と絶望に苦しむ人々がいること、そしてそんな苦しみの中でも杉原さんの存在が人々に人間という存在への希望をもたらしていることがわかります。

 

みんなが杉原さんに感謝の気持ちを伝えたくて、彼を探しまわっていたというのです。戦後ユダヤ人によって建国されたイスラエルから招待を受けた杉原さんは、感謝の気持ちをこめた表彰を受けました。

 

篠さんの取材を受けたあるユダヤ人は言います。杉原さんは「神が遣わせた人である」と。

 
 

杉原さんは、ロシア正教を信じるクリスチャンでもありました。篠さんは、まるで杉原さんの行動を表すような聖書の一節を紹介しています。

「あなたがあなた自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」

自分の損益にとらわれず、人のために何かを成すことの尊さを教えてくれる言葉ですね。

 
 

〜子どものやる気にどんな影響が?〜

 

何か行動を起こそうとするとき、その原動力となるのは自分のためになるか、そうでないか。どんな人もそうだと思います。

 

でもこの本を読んでいると、人の為に成すことは、自分のためにしたことよりも何倍も大きなよろこびを返してくれるような気がします。

 

杉原さんは、日本、そして自身の社会的地位と、人道的な行いの狭間で葛藤しながらも、信じる正義を貫き通しました。終戦後は辛酸をなめましたが、人生の終わりにこの上ない幸せを味わったのです。

 

もちろん、正しい行いには苦しみがつきものです。誰にも感謝されず、白い目で見られることもあるかもしれません。しかし、その先には自分を貫き通したという自信や誇りがあります。

 

杉原さんは、自分を愛するようにユダヤの人々を愛し、極限の中で逃げる道を示しました。その行為は偉大ですが、彼にとって当たり前の行動だったのではないかとも思えてきます。そんなふうに物事を考え、人を思いやる心を養ってくれる本です。

 
岐阜県八百津町にある「杉原千畝記念館」

やる気が出てくる世界の言葉:
「あなたがあなた自身を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」  約束の国への長い旅/篠輝久著

 
 

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この記事を担当した人

藤原 望(ふじわら のぞみ)

1993年生まれ。埼玉県出身。大学卒業後は福祉施設に勤務するが、社会人5年目で一念発起し文章を扱う仕事を目指す。この世で好きなもののトップ3は本、映画、お酒。

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