仕事・働き方

フリーランス作曲家のこおろぎさん―やる気マネジメントの秘訣は「仕組みを作る」ことだった

2021.11.22

フリーランス作曲家こおろぎさん
舞台『東京リベンジャーズ』の音楽を担当されるなど、フリーランスの作曲家として大活躍中のこおろぎさん。作曲家としてだけでなく、ブロガーやYouTuberとしても精力的に活動するこおろぎさんに、やる気への考え方についてお聞きしました。

   


 

こおろぎさんのプロフィール

こおろぎ

一人で全部やるフリーランス作曲家。1982年宮崎県生まれ。2010年、Twitterとの出会いをきっかけにインターネットでの音楽家の稼ぎ方を模索し、音楽を無料で配布するフリーミアムモデルとブログを軸に活動を広げ、現在はストックミュージック、舞台、CM、VRを含む映像やゲーム、アプリなどの音楽を制作している。

          

 

ネットの登場が転機だった


 

――現在のお仕事やご活動の内容を教えてください

 

仕事としては、舞台の音楽を作っていることが多いです。そのほか、BGM販売サイトAudiostockの専属クリエイターとして楽曲を登録したり、ゲーム、ウェブ、テレビなどの音楽を作ったりしています。

活動としては、音楽のほかにYouTube、ブログ、noteなどをやっています。

 

――音楽に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。

   

中学生のころに同じクラスの友達が楽器をはじめたのを見て、なんとなくやりたくなり、一緒にバンドをはじめるようになりました。そこでギターの演奏をやるようになりました。

    

――最初はバンドからだったんですね。

 

高校でも同じように、違うメンバーとバンドをしていました。高校時代にバンドをやっていくうちになんとなくプロになろうかなと考えはじめ、進学のことを考えるころにはプロでやっていこうと考えるようになりました。

高校卒業後すぐは、仕事をしながら音楽を続けようと思い、とりあえず会社に入りました。しかし、知識などが足りていないと気づき、仕事を辞めて音楽の専門学校に入りました。卒業後はずっとフリーで音楽活動を続けているという感じです。

 

バンドで演奏中のこおろぎさん
2008年ごろ。バンドで演奏しているこおろぎさん。

 

――専門学校在籍中にバンドから作曲家へと方向性を変えたのですか?

   

それは、専門学校を卒業して7~8年くらいたってからですね。卒業してからも他のバンドをやっていたのですが、それをやめて作曲家に移ってやっと食えるようになってきたという感じですね。

   

――バンドから作曲家に移ったきっかけは?

 

当時、15~20年前だと音楽で売れるきっかけがバンドしかありませんでした。まだネットも整備されておらず、バンドでメジャーに一回いかないとコネも作れないし、名前も売れないので、「バンドしかない」と思っていました。

しかし、続けていくうちにバンドというフォーマットに僕の性格や、やりたいことが合っていないと思うようになりました。そんな中で、ネットが出てきて「僕のやりたいことはこれだ!」と思いネット方面に移動しました。

 

――ネットのどういったところが自分に向いているなと感じたのでしょうか。

 

どういったところがというよりは見た瞬間。特にTwitterとiPhoneを見た瞬間に、「これからは、僕はこれをやっていくんだ!」と直感的に感じました。

 

――音楽の形態というよりは、場所や取り組み方の部分が大事だった。

 

そうですね。今もずっと一人でやっていますし、一人で作るのが好きですし、あんまり外でライブなどをやるのも自分にはあんまりという感じだったので、こっちの方が合っているのかなと。

 

――ブログ(こおろぎさんち)はどのタイミングではじめたのですか?

    

iPhoneにビビッときた半年後くらいあとに、パソコンでブログを本格的に書きはじめました。2010年か2011年くらいだったと思います。

1年くらいは、書きたいことをなんとなく書いていました。そのうちに、ブログの有名な方を見て、こういうやり方があるのかと勉強し、「ブログでもやっていくぞ!」という気持ちにだんだんとなっていきました。

     

ブログ「こおろぎさんち」
こおろぎさん運営のブログ「こおろぎさんち」

 

まずは「サッとやってみる」ことが大事


 

――音楽とブログ、それぞれどこでやる気スイッチが入ったのでしょうか。

 

「ここ」という明確なスイッチがあったというよりは、なんとなくやってみて、だんだん(やる気が)上がっていきました。続けられているものは全部そうでした。

 

――確かに、音楽もブログも最初はなんとなくはじめてみて、それからだんだんと本格的になっていったというお話でした。

 

そうですね。気合を入れてやろうというものはなかなか続かないんですよね。なんとなく続けていたものの方が、ずっと続けていられるという状態ですね。

やろうと思ったときに気軽にはじめられるということが大事なんじゃないかと思います。気合を入れようとすると準備だけで疲れちゃうという気がするので、とりあえずサッとやってみるというのがすごく大事だと思うんです。

最近も、YouTubeをなんとなくはじめたのですが、1年半くらい続いています。アイフォン一発で撮って喋ってという感じではじめて。

    

 

デスクに座れば自然とやる気がわいてくる


 

――続いたものと続かなかったものの違いは何だったのでしょうか。

 

やらなきゃいけないものは続きにくいですね。絵もやっていたんですが、できるようにならなきゃという気持ちがあるとなかなか続かないです。なんとなく続けられるものの方が長続きしますね。

 

――モチベーションは自然に上がってくるのですか?

 

そうですね。気合を入れる瞬間もありますが、ほとんどは自然で、習慣になっています。例えば、デスクに座るというのが当たり前で、座ったらすぐ仕事や作業ができるようになっています。

音楽の制作風景
デスク周辺はすぐに作業を始められる環境が整っている。
作業デスク
楽器

 

――一度座ってしまえばモチベーションが自然と出てくるんですね。

 

そうですね。やっぱり環境作りも大事かなとは思ってます。

 

――「環境作り」というと、具体的に他にはどのようなことをしていらっしゃるのでしょうか。

 

例えばYouTubeなら、カメラは基本動かさないでセッティングしたままとか、後ろも片づけなくていいように常にこの(整理整頓された)状態とか。他の作業にしても、ほとんど動かさなくていいように、準備が必要ないように常にしています。

 

YouTube用カメラ
YouTube用カメラが常にセッティングしてあり、いつでも動画が撮影できるようになっている。

 

――準備がしっかりしてあるから、最初の一歩がすぐに踏み出せて、そこから自然にやる気がわいてくるということですね。

 

そうですね。スイッチを押すまでの力を少なくするというか。

 

   

 

いま大事にしたいのは、続けるための仕組み作り


 

――今後の目標や予定を教えてください。

  

仕事の予定としては、このご時世なんですが舞台が多いので、今後も中心になっていくと思います。一方で、音楽のストックの収入が多くなってきたので、しばらくは一人で色々なことを勉強する時間にしたいなと思っています。

ビジュアル的な、画像とか映像とか、そっち方面の勉強をしたいなと思っていて。モデリングしたりとか絵をかいたりだとか。

    

3DCGの制作風景
3DCGの制作風景。

      

あと英語ですね。海外のコンテンツのチュートリアルを見たりだとか、海外の知識を吸収するために英語をやっています。勉強のしなおしをしたいなと思っています。

 

――ビジュアルの勉強に関しては、何か目標があって勉強していらっしゃるのですか?

 

具体的にこういうものを作りたいというのは今のところはなくて、漠然と学んでいます。

    

――これもはじめてみたら面白くて続いているということでしょうか。

 

実は逆なんですよね。今まではしんどかったものを続けてみようというところをやっていて。やりたいことだけやっているとそっちでずっと固まっちゃうというか。本当は身につけなきゃいけないものを、どうやってやる気を出してゴリゴリ進めていくかというのをやっていて。ずっと英語の勉強はやる気が出なくてやっていなかったんですが、仕組みを作って進めていくということをやっています。

ToDoリストで管理したり、やることを決めておいて、YouTubeのチュートリアルで今日は1日この1本の動画を見ながらやるとか、本を買って2ページ分やるとか。準備に時間をかけなくていいようなやり方、今日はこれをやると決めておいて毎日やるとか。そういう風にしています。

     

使用している参考書
こおろぎさんが実際に使用している参考書。

 

――最後に、モチベーションに関する悩みを持っている方に向けて、メッセージをお願いします。

    

僕も自分のやる気に関してはすごく悩んできたんですよね。元々エネルギーが低い人間なので、どうやって続けていくかということに関しては悩んできたんですけど、僕が思ったのは「仕組みを作る」ということですね。

環境を作って、準備を事前にしておいて、アプリを使ったりとか手助けを沢山してもらって、どうやって楽に進めていくかというのが大事かなと思っていますね。

やっぱり毎日するものですから、毎日毎日機械的に続けていく仕組みを作るというのが大事かなと思いますね。

   

――ありがとうございました!

 

 


 

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この記事を書いた人

ミズタ

やる気ラボライター。趣味は映画と音楽。インタビューとコラムをメインに書いています!



 
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