子育て・教育

【教育】知能って何だろう?|わが子のやる気を目覚めさせる「知育のヒケツ」(1)

2019.06.21

【幼児】【保護者】
 知能研究所の市川希所長に、子どものやる気を目覚めさせるための「コツ」や「奥の手」について、3回に分けてお話をうかがいます。
 第1回は『知能って何だろう?』


 こんにちは。やる気ラボの矢野です。

 今回のテーマは「知育」です。

 知育。知能を育むこと。子育てに関わるママなら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

 ほかにも「考える力」「生きる力」「地頭力」といった言葉やそれに付随するお話もよく聞かされると思います。テレビでもラジオでもSNSでも。いわく、しっかり考えられる「頭の良い子」を育てなさいと。「知能」を伸ばしなさいと。

そりゃ、頭の良い子には育って欲しいですよ?
言われなくても。

 ただこれ、じゃあ具体的にどうすればいいんでしょうね。何が正解なのか、なかなかよく分からないんですよね……。

 なんか、情報量や選択肢が多すぎるんじゃないでしょうか。

 例えば「知育玩具」ひとつとっても、デパートの玩具売り場、本屋の児童書コーナー、amazonの人気ランキングなどでいろいろなブランドを目にしますが、それゆえどれが良いのか選ぶのも大変で、迷ってしまいます。

わが子に合うのはどれだろう?

 せっかくなら、子どもに興味を持たせてくれる、好奇心を抱かせてくれる、“やる気”を目覚めさせてくれる――そんな方法をキチッとセレクトして、子どもの可能性をしっかり育みたいものです。

 そう思うのは、贅沢なことではないと思います。

 どうすればいいのでしょう?

 それに、そもそも。

 「頭が良い」って、何なんでしょう?

わかるような、わかんないような…

 今回、そこのところをじっくり整理して考えてみたいと思います。アドバイザーとして、知育のプロフェッショナル、「知能研究所」の市川希先生にお話をうかがうことができました! 全3回にわたり、ご指導いただきます。

 第1回『知能って何だろう?』

 キーワードは『知能』『知育』です!

知能研究所 所長

市川 希 先生

いちかわ・のぞみ●脳生理学・教育学・心理学などを基礎に、人間の知能および知能幼児教育学の研究を重ねている知能研究所の所長として、全国約130教室で使われている知研プログラムの研究開発に携わっている。

知能とは「頭の器」
知育とは「頭の器を作ること」

──よろしくお願いします。さっそくですが、そもそも「知能」や「知育」ってどういうものなのか、イマイチよく分からないんです。ズバリひと言で言うと、何なんでしょうか?

市川 「知能」とは、頭の器です。この器が大きくて、しっかりしていればしているほど、小学校、中学校、高校で学習するときに色々なものを取り込めて、支えていくことができます。

この器を作るのが「知育」です。 頭の良さは何で決まるかと言うと、大昔は生まれ持った「遺伝」だと言われていましたが、現在は後天的な「環境」の大切さも指摘されています。知能研究所では、この「環境」の方が大きなファクターを占めていると考えています。

頭を良くするのは損じゃないですよね?

──もちろんです(笑)。

市川 でも、これはいつでもできるものではないんですね。

大人になったときにできるかと言われれば、(脳はまだまだわからないことがたくさんありますが)なかなか難しく、幼児期にしか達成できないものです。

だからこそ、幼児のときには頭の器を作ること、「知能」を育むことが求められているのです。

──とても大事だと思います。
頭の器を作ること。それは、物事を多面的に見る観察力だったり、いろいろな意見をする発信力だったり、意見を受け止める受容力だったり、多種多様な力を鍛えることにもつながっている気がします。
…まぁ、いろいろありすぎるがゆえに、これもよく分からないというか、ピンとこないのですが…。

市川 確かにそうですね。「知能」がどういう力を意味するのか、その可能性は何百通りにも拡がりうるでしょう。一つひとつ挙げていってはキリがないと思います。
ただ、シンプルにまとめることはできるんです。「考える力」「憶える力」の2つになると私たちは考えています。

──おぉ! これは!
 シンプルで、分かりやすいですね。

市川 この「考える力」「憶える力」を伸ばすために、私たちは『知能因子論』という理論を基に教材開発をしています。

頭の器は、3つの領域と
3つの憶える力、そして
5つの考える力でできている

──『知能因子論』とはどういうものですか?

市川 『知能因子論』は大きく2つに分かれています。「知能領域」「知能活動」の2つです。

――「領域」ですか。

市川 はい。「知能領域」は、情報の種類のことです。
つまり、人間が考える時に何を素材(材料)にしているか。
これを「図形」「記号」「概念」の3種類で説明しています。

まず、「図形」は文字通り、図形です。
幼児にとっての「記号」は、を意味します。
そして「概念」は、言語のことです。

――もうひとつの「知能行動」とは、何でしょうか。

市川 「知能活動」は、知能――
「憶える力(記憶)」と
「考える力(思考)」の働き
のことです。

「憶える力」には、次の3つがあります。

  • その場ですぐ憶えること『記銘』
  • いつまでも覚えていること『保持』
  • 思い出すこと『再生』

そして「考える力」――すなわち「思考力」には、次の5つがあります。

  • 外部の情報を正しく受け取れる能力(認知能力・理解力)の『受容的思考力』
  • 2つ以上の事柄(情報・条件) から1つの結論を導き出す能力『集中的思考力』
  • 1つの事柄(情報・条件)からいろいろな方面に思いめぐらす能力『拡散的思考力』
  • ある事柄を別の方面から見なおす能力『転換的思考力』
  • 内部の情報(自分でわかっていること)を的確に表現する能力『表現的思考力』

特に「5つの思考力」は重要です。これらをあますことなく活用するのが「創造力」であり、知研では段階的にひとつずつ鍛えていきます。
私たちは、この5つの思考力を育めるように教材開発の中で、楽しくできるような工夫がされています。

遊びが大切!
達成感はもっと大切!

──楽しく。言わば、遊びですね。なぜそうした要素を入れているのでしょうか?

市川 遊びながらですと、自ずとやる気になるからですね。ただ、やる気を出させるには「達成感」が必要です。

『本性論』という理論では「本性的快」と読ばれているのですが、人間には子どもでも大人でも『本性(ほんせい)』という、もともと持っている欲求があります。

それを満足させることで、達成感を得て、次もまたそれをやろうという気が起こるんですね。なので、この『本性』を意識して、子どもたちに満足感や達成感を与えてほしいと思います。

できた・できないという結果そのものを気にする必要はないですが、重要なのはそのあとです。「できなかった」「難しかった」で終わってしまうと、次はやらないとなってしまう可能性があります。

「楽しかったね」とか「がんばったね」と声をかけて、達成感を持ってもらい、子どもが次にやる気になるように先生や保護者の方には意識してもらいたいです。

──ただ褒めるのではなくて、達成感を覚えるような言葉が重要なのですね。つまり、お子さん自身にこういうところに自分は力がついたんだと思わせるようなことですか?

市川 幼児ですからそこまで意識はできないと思います(笑)。

ただ、褒め方がマンネリ化しないように、例えばゲームひとつでも、「勝ちたい」と思ってどんどん次をやりたいと先に進む子もいれば、「ちょっと待ってもっと考えさせて」という子もいます。

子ども一人ひとりの特性を見極めることは必要です。待ってあげたほうがいい子もいれば、どんどん新しい課題を見せることでやる気になるタイプなのかを理解して、達成感を得られるような言葉がけ、導き方をお願いしたいです。

では、子どもたちのそうした「力」はどのように伸ばせばいいのでしょう? ――第2回はこちらです


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