仕事・働き方

室田夏海 「何気ない感情」から生まれるストーリー【インタビュー】

2019.12.18

大学に通いながらシンガーソングライターとして活躍する室田夏海さんに、さまざまなことにチャレンジを続ける生き方についてお話をうかがいました。
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室田夏海(むろたなつみ)

島根県松江市出身のシンガーソングライター。岡山大学在学中。高校生のときに音楽活動をはじめ、現在は岡山を拠点に各地のライブハウスで弾き語りツアーをおこなう。2019年9月には、人気野外フェス「New Acoustic Camp」にも出演。OAUと共演を果たすなど、飛躍の一年になった。

恥ずかしくて
親にも言えなかった


やる気ラボの勝部です。本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いします!

さっそくですが、室田さんがシンガーソングライターになろうと思ったきっかけはなんだったんですか?

高校生のときに、両親にアコースティックギターを買ってもらったことがきっかけですね。家族の誰もギターをやったことがなかったんですけど、なぜか買ってもらったんです(笑)

偶然だったんですね(笑)両親の先見の明がすごい。

歌うことは小さい頃から好きだったんですが、それまで曲を作ろうと考えたことはなかったんですよ。でも、弾いているうちに「コードがわかったら自分でも作れるじゃん!」って気づいて、そこからちょこちょこ曲を作るようになりました。
当時はmiwaさんやYUIさんが流行っていたので、コード進行などをマネしていましたね。

1本のギターが原点だったんですね。

ニューアコキャラバン2019でグランプリを受賞するなど、
今では数々のオーディションで優秀な成績を収めるシンガーソングライターに

しかし、なかなか人前で自分の曲が歌えなかったとか?

そうなんですよ!15歳くらいから作曲を始めたんですが、当時は自分の作った曲を他の人に聴いてもらうことがすっごく恥ずかしかった。心の底を見られるみたいで…。
だから始めて1年くらいは、作曲していることを誰にも言えなかったですね。両親にも。

両親にも!?
そんな状態から、どうやって人前で歌えるようになったか気になります。

ある日、母に言われたんです。「自分で曲を作ってみたら」って。
「もう作っているんだけどな」って内心では思ったんですが、人に言われると違うものですね。その言葉がきっかけで、披露してみようと思えました。

わかります。ためらっていることでも、人に言われたら簡単にできちゃうことってありますよね。

高2の夏のことですね。ちょうど自信を持てる曲ができたときだったので、ライブで何も紹介せずに突発的にやりました。

どんな曲だったんですか?

「グッバイ」という曲です。卒業して会えなくなる先輩を思って歌いました。
最近のライブではあまりやらないのですが、今でも好きな曲の一つですね。

室田さんのデビュー曲ですもんね。
今まで作ってきた中で、いちばんのおすすめの曲はなんですか?

「ただいま」という曲ですね。7月にはMVも作りました。

良い曲ですよね。素直な歌詞を聴いていると、僕も久しぶりに実家に帰りたくなりますもん。
「あったかいご飯」が待っているかどうかは別として(笑)

地元を思って歌った曲

コンセプトはいらない
感情の趣くままに


曲を作るときに、「こういう曲にしたい」というコンセプトをあらかじめ考えますか?

今まで20曲くらい作ってきたのですが、あえてコンセプトというものを考えないようにしています。

それはどうしてですか?

私は、コンセプトが決まっていないからこそ、いろいろなテイストや雰囲気の曲が生み出せるのではないかと思っているんです。何かを思ったときや、感情が大きく動いたときに曲を作るようにしていますね。

どういうときに「感情が大きく動く」のでしょうか?

普段の生活の中で、感情が動く瞬間ってあるじゃないですか。私の場合は、バイト帰りに自転車こいでるときですかね…(笑)
最近では「卒業するの嫌だな」と、よく考えています。

普段の何気ない感情から生まれているんですね、本当に(笑)
確かに、室田さんの曲は良い意味で「飾ったところ」がまったくなくて、だからこそみんなの心に響くのだと思います。
自分だったらどうしても、“盛った話”や“カッコつけた言葉”を使いたくなってしまいそうな気がするのですが・・・。

私の場合は、書きたい気持ちやエピソードをきっかけに、同じような気持ちになった別の出来事や、これまでみた映画や小説などを思い出して言葉を決めていますね。

なるほど。1つではなく、複数の出来事から形づくられていたのですね。

曲を作る工程が楽しい。ぜんぜん飽きないです

自分で足を運んで
直接歌を届けたい!



ところで、入ってこられたときから気になっていたのですが、すごい荷物ですね!(大きなギターとキャリーバックを眺めながら)

今日この後、下北沢でライブがあるんですよ。岡山から夜行バスに乗って、今朝東京に到着しました。

めちゃくちゃハードじゃないですか。
室田さんは現在岡山大学に在学中とのことですが、勉強しながらの活動って大変ではないですか?

私は環境に恵まれているんです。
勉強と音楽の両立は大変なこともありますが、教授やクラスメイトが私の活動をとても応援してくれています。周りの人たちに恵まれているおかげで、なんとかやりくりできている感じですね。

室田さんの「純粋に音楽を楽しんでいる」姿を見て、みんなが応援したくなるんだと思いますよ。
本当に全国各地で活動されていますもんね。

今年は岡山を拠点に、大阪・東京など、13都府県でライブをしました。
8月は1カ月で10カ所以上をまわりましたね。

そんなに!一カ月の半分くらいはステージに立っている感じですね。
僕、ライブの仕組みがよくわからないのですが、全国ツアーってどうやって企画するんですか?

岡山にツアーで来た人たちのお話を聞いて、良いと思ったライブハウスに自分で直接連絡することもありますし、そういう人たちのつてを頼ることもあります。
ただ、やっぱり交通費が大変ですね。バイトでためたお金とCDを売ったお金を使って、なんとか頑張っている感じです。

そういった大変な思いをしながら、どうして岡山だけではなく全国で活動しようと思われたのですか?

岡山でやっていても、今はSNSを通していろいろな人に聴いてもらうチャンスはあるのですが、やっぱり自分が足を運んで、直接聴いてもらうのがいちばん良いなと思っているんです。
あとは、もともと新しい場所に行くのが好きっていうのもあります。また、いろいろなライブハウスで経験を積めば、今後の活動にも役に立つと思ったので!

すごい行動力。僕も見習わなければ・・・。

筆者の好きな曲です

「今」だけを見つめて全力


大学卒業後の活動について教えてください。

進路については非常に悩んだのですが、東京で仕事をしながら音楽活動を続けていくことにしました。

週5で働いて、土日に音楽活動でしょうか?
大学に通いながらも大変だけど、今度はますます大変なチャレンジですね。

土日と、あとは仕事終わりですね。
不安はありますが、何事もやってみないことにはわかりませんからね。
今年やったライブツアーでも、就活をしながら音楽活動を頑張っている同年代もいましたし、「自分も頑張らなきゃ」と思いました。

プロを目指そうとは?

東京の活動で、今後音楽一本で食べていけるようになりたいとは思っています。
しかし、プロになろうというよりは、たくさん曲を作って、たくさんの人に聴いてもらいたいという思いが強いですね。いちばんの目標は、人の心に響く曲を作ることです。

そういった目標のために、来年はどういう年にしたいですか?

今年は全国ツアーもできましたし、CDを発売することもできました。ニューアコという大きなフェスにも出れましたし、とても実りのある一年だったと思います。
来年はこの経験を活かして、ワンマンライブを企画できればいいですね。

ワンマンライブ、かっこいいですね。
それでは、10年後、こうなっていたいというビジョンはありますか?

うーん・・・10年後・・・。チャレンジを忘れず、素直に話を聞ける人・・・?(笑)
私は「今、何がしたいか」ということが大事だと思っているので、そこまで大きな目標はありませんね。

すごく室田さんらしい答えですね。
僕が室田さんのように結果を出している立場だったら、「紅白に出る!」とか言っちゃいそうなところですが・・・。そういう「音楽を純粋に楽しんでいる」ところが、室田さんがみんなに応援される理由ですよね!

自分の歌に知らない誰かが感動してくれること。それがいちばん嬉しい(写真:Twitterより引用)

いっぱい悩むことも大事


室田さんって、ひょうひょうとしているというか、とてもポジティブなイメージがあるのですが、音楽活動をしていて悩みってあるんですか?

ありますよ!
曲が思うようにかけないときはストレスたまりますし、「あの子は頑張っているのに自分は・・・」って比べたくないのに比べちゃうこともあります。
最近だと、進路のことでめちゃくちゃ悩みました。

そんなときってどうしてますか?

周りの人の意見をたくさん聞くようにしていますね。一人じゃなくて、できるだけいろいろな人から多くの意見を聞くことで、自分では考えられなかったものが見えてくることもあると思います。

いろいろな人に話を聞くことって、本当に大事なことですよね。僕も最近、身にしみて感じます。
最後になりますが、読者のみなさんに向けて、夢に向かって頑張るためのアドバイスをお願いします。

私は、悩むことは悪いことだとは思っていません。自分自身、今までめちゃくちゃ悩むことが多かったですし、今も正直悩んでいることもあります。
だけど、今はまだ苦しくても、いつかきっと良い方向に向かう。私はそう思って頑張っています。

ありがとうございました。
今後の室田さんの活躍に期待しています!


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この記事を書いた人

勝部晃多(かつべ・こうた)

やる気ラボの娯楽記事担当。23歳。ハウストラブルコラムやIT関連のニュースライターを経、2019年8月より現職。趣味はプロ野球・競馬観戦や温泉旅行、読書等と幅広いが、爺臭いといわれるのを気にしているらしい。性格は柴犬のように頑固で、好きな物事に対する嗅覚と執念は異常とも評されている。

 
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