やる気の出るモノとコト

【やる気が出てくる世界の言葉】「ジニのパズル」社会に目を向けようとするやる気を引きだす言葉

2019.11.21

親子で学びたい。我が子に伝えたい。そんな気持ちになれる、やる気が出てくる世界の言葉。歴史上の偉人や名著からピックアップ。その言葉はどうして出てきたのか、お伝えしていきます。
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2016年、公職選挙法が改正され18歳から選挙権が得られるようになりました。18というとまだまだ若いように思われますが、いかがでしょう。

 

筆者は20歳で選挙権を得た年代ですが、20歳の時でさえ、世の中のことなんて何も考えていませんでしたし、正直に言ってしまうと今だってそうです。

 
 

友人と政治の話をすることなんて全くなく、むしろそんな話題は避けるべきだという意識が強くあります。

 

皆さんのお子さんはおいくつでしょうか。自分の子どもが選挙に行くようになるなんて、まだまだ遠い先の話だと思うかもしれませんが、その日はすぐにやってきます。

 

今回紹介する本は、中高生のお子さま向けかもしれません。自分のアイデンティティを自覚し、社会に意識を持とうというやる気を起こさせてくれる一冊と言葉を紹介します。

 

やる気が出てくる世界の言葉】:「人は誰でも必ず輝く。その瞬間は、あなたが努力して引き寄せるしかない。逃げたら終わりなの」

「ジニのパズル」崔 実 著

 

著者は、崔実(チェシル)さん。在日韓国人3世として日本に生まれます。幼い頃から日本、アメリカ、韓国を転々としたことで様々な文化の洗礼を浴び、自身の経験をベースに創作したこの作品で、優れた新進気鋭作家に贈られる織田作之助賞を受賞しました。

 

この本の主人公はジニ。高校生の女の子で、今まさにアメリカ・オレゴン州の高校を退学になる、というところから物語が始まります。

 

アメリカの高校でジニは無気力そのもので、投げやりになっているような印象が見て取れます。なぜそうなったのか。ジニは、信頼を置いているホームステイ先のおばさん、ステファニーに過去を打ち明けていきます。

 

ジニは日本生まれの在日朝鮮人です。小学校は日本の学校に通ったジニ。友達も多く、みんなに好かれ、楽しい日々を送っていましたが、ある女の子から侮蔑の念を込めて「朝鮮人」と呼ばれたことや、街で右翼団体の街宣車を見るたびに、自分のアイデンティティが揺らぐことになります。

 

中学校から朝鮮学校に通うこととなったジニは、朝鮮語も殆どわからず、すでに出来上がっている生徒たちの輪に入るのもためらわれ、浮いた存在になっていきます。ほとんど日本のコミュニティで育ったジニは、朝鮮学校の雰囲気を異様なものとして受け止めます。

 

入学式、まるで劇場のように豪華な体育館。そのステージで微笑む金日成、金正日の肖像画。ジニが朝鮮学校に入学したとき、 すでに世の中は北朝鮮問題で揺れていました。

 

拉致問題が取り沙汰され、国家指導者への異様なまでの崇拝が報道され、日本という国で自分たちを取り巻く空気感に、ぎこちなさを感じます。

 

肖像画は’何の意味もない’という朝鮮学校の先生や生徒たち。しかし、肖像画はどの教室にもあり、その下で勉強する生徒たちの姿はまるで指導者に頭を垂れているようでした。ジニが感じる違和感はどんどん膨らんでいくのでした。

 

そんなとき、あるニュースが飛び込みます。北朝鮮がミサイル「テポドン」を発射し、日本列島を通過したあとに海に落ちたというのです。

 

その日はちょうど始業式。制服であるチマチョゴリを着て学校に向かわなければならないことに、強い恐怖心を抱くジニ。案の定、逃げるように入ったゲームセンターで、警察を名乗る男たちから精神的、肉体的に辱めを受けます。深く傷ついたジニは、学校に行けない日が続くのでした。

 
 

そんな中、ジニは自分たちが通う朝鮮学校に何本も脅迫の電話がかかってきたということを知ります。自分たちの今ある状況に「私たちが何かしたところで変わるものではない」と言う同級生たちに強烈な違和感を感じるジニ。

 

自国民を飢えさせ殺し、他国民を拉致し、やりたい放題の金政権。その国の国籍があるというだけでこんなにもやりきれない思いを抱えている。どうにかしなければ、と思うジニの頭に浮かんだのは「革命」の2文字でした。

 

ジニに再び学校へ行こう、いや、行かなければという活力が生まれたのです。  金政権を、そして問題を問題と思わない姿勢を批判する力強い声明文を携え、ジニは久々に登校します。

 

大量の声明文を校内にばら撒き、教室の肖像画を取り外します。肖像画を覆っていたガラスは飛び散り、学校は騒然となります。

 

そのあとは最悪でした。ジニは病院に入れられ、朝鮮学校は退学になり、逃げるようにアメリカの高校へ行くことになりました。そこで物語は冒頭に戻ります。

 

日本にいてもアメリカにいても、人は問題から目を逸らそうとする。そんな現実にジニは絶望し、退学になって日本に戻ろうかと考えます。しかし、ステファニーはジニに言います。

 

「人は誰でも必ず輝く。その瞬間は、あなたが努力して引き寄せるしかない。逃げたら終わりなの」

 

変えられない過去や運命、残酷な現実。様々な苦しさを抱えたジニは、その言葉に救われます。

 

日本で、北朝鮮という国を背負って生きること。母国への怒りと愛と、相反する思いを抱えながらそれを理解されない辛さ。そういった思いを全て受け入れ、また未来に向かって歩き出す勇気を得たジニでした 。

 
 
 
 

〜子どものやる気にどんな影響が?〜

 

ジニは、子どもながらに過酷な環境に置かれていたといえます。しかし、これは特別なことでは無いような気もします。あらゆる生きづらさを感じている人すべての共感を呼ぶと思います。

 

自分の悩み、そしてその原因。自分を取り巻く環境、世の中。そういったものに何故無関心でいられるのだろうと思っている子は沢山いるでしょう。それは、どんな小さなことでも同じです。

 
 

ジニは声を上げました。同級生が、「私たち子どもが何をやっても変わらない」という言い訳に、怒りすら覚えて。湧き上がってくる疑問をエネルギーにして、ついには行動に出たのです。

 

それは過激で危険で、本当に「革命的」でした。しかし、同級生や先生たちにとっては問題提起となっていなければいけない事件だったのです

 

どんなに小さな子どもでも、世の中に生きる大切な一人、言ってしまえば「社会人」ですが、そのことを自覚して生きるのはまだ難しいでしょう。

 

でも、世の中の問題に目を向けることはできます。悲しいことや、辛いことに出会った時、何故そうなったのかを深く考える。そうして辿り着いた先に、解決の糸口が見つかるかもしれません。

 

流されるままに生きるのではなく、世の中に対する疑問を捨てないこと。ジニのようなそんなエネルギーで、人は輝くのかもしれませんね。

 

やる気が出てくる世界の言葉:
「人は誰でも必ず輝く。その瞬間は、あなたが努力して引き寄せるしかない。逃げたら終わりなの」 / 「ジニのパズル」崔 実 著

 
 

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この記事を書いた人

藤原 望(ふじはら のぞみ)

1993年生まれ。埼玉県出身。
大学卒業後は福祉施設に勤務するが、社会人5年目で一念発起し文章を扱う仕事を目指す。
この世で好きなもののトップ3は本、映画、お酒。

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