やる気レポート

【教育】親はどんな関わり方をすれば?|東京大学大学院・深代千之教授「スポーツは、適切な練習で、誰でもうまくなる」(後編)

2019.06.7

【教育】【幼児】【小学生】【保護者】
・必要なのは「声かけ」ではなく「楽しむ姿を見せること」。
・遊び方が分からない? 子どもといっしょに知るチャンスです!
・適切な練習法を教えてくれる場も活用しよう。

 

前編はこちらです。

中編はこちらです。



東京大学大学院
教授 深代 千之 先生
ふかしろ・せんし●一般社団法人日本体育学会会長。日本バイオメカニクス学会会長。秩父宮章受賞(2018)。トップアスリートの動作解析から子どもの発育発達まで、幅広く研究する日本スポーツ科学の第一人者。
幼児・小学生向けスポーツ教室「忍者ナイン」のプログラム監修にも携わっており、トップアスリートのメソッドを数多くの子どもたちに伝えている。

 
 

親はどんな声かけを――

川崎:前編では「適切な練習をすれば誰でも運動は上達する」というお話、中編では「手先の器用さと身体全体の器用さを伸ばせる練習が効果的」というお話をいただきました。
 では、どうすれば子どもたちが適切な練習に取り組んでくれるようになるのでしょうか?
 後編では、子どもをやる気にさせるために「親はどんな声かけをすればいいの?」ということについてお話をうかがいたいと思います!

 

深代声かけなんてしちゃダメですよ。

 

川崎:えっ。

 

深代:だって、子どもは「おもしろい」「負けたくない」という気持ちがあるからがんばるんですよ。そこに「やれ」「がんばれ」って言われても。

 

川崎:うっ…(汗)

 

深代:子どもにしてみれば、大きなお世話だと思いますよ?

 

川崎:すみませんでした反省します。

 
 

大事なのは、大人が楽しむ姿を見せること

川崎:とは言え、親から何も子どもにうながさないというのはちょっと寂しいというか、一緒に缶蹴りとかして遊びたいではないですか。ただ、公園で親から缶を渡して「缶蹴りやるぞ」と言うのは、ちょっと違う気がします。

 

深代:難しく考えなくても、遊んでみせればいいのですよ。「やれ」って言ってやらせるのではなく、まずは大人がおもしろがってやってみる姿を見せるのが大切だと思います。おもしろそうにしている姿を目にすれば、子どももやってみたくなるものですよ。

 

川崎:なるほど。けん玉やお手玉、ベーゴマもそうですけど、まず大人が自分で楽しくできるかは大事なポイントになりそうですね。

 

深代親が楽しんでやってみせるのが一番ですね。

親のやる気が子どもに伝わる

川崎:ただ、子どもにはいろいろな遊びをさせたいですけれど、子ども時代にやらなかった遊びも結構あります…。

 

深代:昔の遊び方を掘り起こすことが大切です。親が「遊び方が分からない」というのは、考えるためのいいきっかけなんですよ。子どもと一緒に、いまからでも新しい遊びにどんどん興味を持って、チャレンジしていただければいいと思います。

 あとは、おじいさん、おばあさんに聞いてみるのも良いですね。昔はいろいろな遊びがあったはずですから。遊び方は練習で身につけるもので、いったん身につければ、高齢者になっても結構覚えているものです。

 

川崎親が「できない」のは「学びそびれているだけ」ということですね!

 

深代:逆に、親が遊び方やおもしろさを分かっていても、それを子どもに伝えられないのでは意味がありません。おもちゃでもスポーツ用具でもいいのですが、何かを「与える」だけで満足してしまう親は少なくありません。子どもからすると、家に帰ってきても親がリビングでテレビを見て寝るだけだったら、なかなかやる気は沸いてこないものです。

 
 

友達との競争がやる気を引き出す

川崎:公園で、少し年上の友達が楽しく遊んでいる姿を見せるのも、子どもの「やってみたい」という気持ちを伸ばすには有効そうです。息子と一緒に公園にいくと、7歳くらいの子どもたちがベーゴマで遊んでいるのですが息子、勝手に手を伸ばして取ろうとしますし。

 

深代:その通りですね。

 

川崎:ただ、心配なのは、そういう子どもたちの遊び場がどんどん減っているらしいということです。

 

深代:昔の子どもは、友達との遊びや競い合いのなかで自然と運動能力を高めることができたんですけどね。遊びの中で、社会のルールや、人とのつきあい方も学ぶことができました。そういう場が減ってきた結果、民間のスポーツ教室などがその役割を補っているというような状況も生まれてきていると思います。

遊んで競い合う、そんな場をどう用意するか

川崎:先生が監修されているスポーツ教室「忍者ナイン」でも、異なる学年同士で競争する環境づくりを大切にしています。

 

深代:こういう場を提供するのは大事ですよ。一人きりで遊んでいると、何が上手くて、何が下手なのかは分かりません。走るのが速い子、ボールを蹴るのが上手い子、手先が器用な子といった個性は、人と競い合い、比べるからこそ分かるものです。

 もちろん、競争に勝てないこともあります。むしろ、負けた時が重要ではないかと思います。悔しいという気持ちがあるからこそ、勝つために練習に向かうものですから。

 

川崎:負け方が重要な気がします。例えば、卓球の試合で負けてしまって「次はがんばるぞ!」となるか、嫌になって「もうやめた」となるかは子どもによって分かれてきます。
 子どもが負けてもなお「やってよかった」「次もがんばろう」と思えるように、大人の側から何かできることはあるのでしょうか?

 

深代:それもやはり、適切な練習だと思います。子どもが勝ちたいと思い、でもやりかたが分からない――そこでは大人が「教える」意味があると思います。
 つまり、次に勝つために何をすればいいかを子どもに示せるかということです。例えば卓球だと、それこそボールに当てられないような人がいきなり試合に出ても、おそらくやる気をなくすだけでしょう。ではまず壁打ちをして、試合で勝つというのが現実的になった段階で、勝負に臨む――という、適切な目標設定によるプロセスを踏ませる必要があります。ここを、どれだけできるかでしょうね。

 

川崎:本人が興味を持っているタイミングをとらえて指導するのがやはり重要だということですね。もっとも、家庭でスポーツの適切な指導を行うには限界があるでしょうから、スポーツ教室などの指導の場を活用するのも効果的ではないかと思います。

 

深代:そうですね。ただ、忘れてはいけないのは、親がそういう環境を子どもに与えて満足するようではいけないということです。スポーツ教室と家庭を切り離して考えるのではなく、家庭に帰っても親子でいっしょに復習をしてみるとか、親子で競争してみるといったことまでやってみると、子どもの可能性はぐんぐん伸びていくはずです。

 

川崎:ありがとうございました。

 
 

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