子育て・教育

小学校校長・加藤先生に学ぶ「学習意欲を引き出す習慣と環境」

2019.04.19

加藤 進 先生

東大和市立第五小学校 校長。2016年4月、着任。小中学生に対する豊富な指導経験をベースに、子どもたちの力を伸ばす教育を実践している。

 

【前編】 子どものつまずきを解消し、やる気を引き出す放課後学習「五小チャレンジスクール」

 

勉強する意味、どう説明する?


 

保護者のみなさんは、小学生のお子さんに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたことはありますか?

みもふたもないようですが、これを子どもに納得できるように説明するのはきわめて難しいことだと思います。

私の持論としては、勉強とは「将来の可能性を広げるために大切なこと」だと思っています。いま勉強していることが、すぐに役立つということはあまりありません。しかし、そうした「点」がいつの日か、「線」となってつながる瞬間が必ず来ます。

その「線」は、子どもたちにいつか“やりたいこと”ができた、やる気が出てきたという時に、道筋を示してくれます。そのための準備が勉強なのです。

――ただ、みなさんも子ども時代はおそらくそうであったように、これはどうしても大人にならないとピンとこないものなんです。

少し話が逸れますが、中学生の場合は「高校入試」という明確なゴールがあります。私は中学校に赴任していたこともあるのですが、中学生になると「なんで勉強しなきゃいけないのか」も、本人たちのなかで比較的納得しやすいようです。いろいろな意見や批判こそありますが、私は期末テストや受験といった枠組みは必要なのではないかと思っています。

しかし、小学生のうちは、中学生ほどには入試にチャレンジする子どもが多いわけではありません。ですから、こういう動機づけは難しいのです。

やはり大切になるのは、「勉強しなきゃいけない」という一種の“やらされ感”をどこまでなくせるかということではないでしょうか。つまり、子どもたちが、学ぶことをごく自然なことと思えるように環境を整え、習慣づけをするという点です。


 

「目にとまる環境」をつくる


 

まずお勧めしたいのは、本や辞書、ポスター、地球儀や地図などといった、いろいろなものを家のあちらこちらに掲示するということです。つまり、ふと興味を持てるようなものを、子どもの目にとまる環境に置いておくことです。

例えば本校では、歴史上の人物やその名言、数の単位、九九の数式、今月人気を集めたという漢字など、とにかくさまざまな情報を学校じゅうにところせましと掲示するようにしています。家庭でも、同じように子どもたちへのフックをたくさんつくっていただけたらと思います。

それから、お子さんがもし何かに興味をもった様子を見せたら、いっしょに辞典や図鑑を拡げたり、インターネットで調べてみたりして、どうすれば知識をより深められるのか見せてあげられれば理想的ですね。

知りたいことを調べ、分からないことが分かるようになっていくという経験が、お子さんが勉強をするときにも「どうやればいいのか」「どうすれば分かるのか」気づくヒントになるはずです。

 

掲示物が子どもの興味を刺激する

 


「机に向かう習慣」をつける


 

もうひとつ、お勧めしたいのが、子どもに「机に向かう」習慣をつけてもらうことです。1日あたり5~10分程度でかまいません。学校の宿題をこなす程度でいいと思います。毎日、家に帰って手を洗ったり、服を着替えたり、歯を磨いたりするのと同じように、机に向かうことを習慣として身につけることができた子どもは、いつか本格的な勉強が必要になったとき、机に向かう時間がひとりでに延びていきます。

本校でも机に向かう習慣づくりは大切にしており、年4回の家庭学習強化週間を設けています。これは子どもたちに1日あたり、学年×10分間、家庭で机に座って勉強するように促すものです。

着実に成果は出ています。回を重ねるうち、目標時間を達成できる子どもたちが6割から8割まで上がっていきました。

ただ、これは言い換えると「机に向かえるようになった子」がいた一方で、「できなかった子」もいた――ということにもなります。

その分かれ目となったのは、家庭がしっかりと子どもたちを見ていてくれているかどうかだったと思います。

保護者会で私がよく提案しているのは、リビング学習です。子どもの勉強する姿を見守ってあげたり、親子でテーブルに座って一緒に勉強をしたりするなどといったことです。

きちんと習慣を身につけること。それができるだけでも、子どもが勉強を「どうやればいいのか」自分の力で実践することにつながります。ぜひ、小学生のうちにしっかり身につけさせていただけたらと思います。

また、習慣が身についていないうちは、一人で机に向かうのは相当疲れるものです。机に座り続けることができたのならば、まずはそこをしっかりと褒めてあげてください。


 

いまの勉強は、未来のやる気のため


 

はじめに示したとおり、子どもたちにとって、勉強はすぐに役立つものだとはなかなか思えないものです。実際、勉強とはそうした性質のものではないと思います。

ただ、子どもたちがさまざまなことに興味・関心を持ち、机に向かって勉強する習慣を身につけていれば――。

それは将来、“やる気”になったことをできるようにするために、かけがえのない財産になる。そう私は確信しています。


 

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この記事を編集した人

川崎 健輔

1987年生まれ。教育業界のWeb編集者です。2歳息子の育児、奮闘中。小学生時代はゲームボーイと受験勉強ばかりやっていました。最近はリモートワークが続いているので甚平を仕事着にして頑張っています。バームロールを与えられると鳴きます。
(Twitter ▶ @kwskknsk

 

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